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著者 | ブリュノ・ラトゥール |
訳者 | 荒金直人 |
発行 | 以文社 |
発売日 | 2017/09/15 |
「事実」とは何か? 「物神」とは何か? そして、なぜ聖像/偶像は破壊されるのか? こうした認識の根本的なテーマをめぐって、本書の著者ブリュノ(ブルーノ)・ラトゥールは、「事実」と「物神」を区別する西洋近代の存在論をフェティシズムにまつわる概念を用いて、批判的に検討する。
そして、白人宣教師と黒人物神崇拝者の植民地状況下における歴史的な出会いや9.11の貿易センタービルの崩壊といった現代的な出来事を通じて、いかに近代人が「物神」とその「破壊」に囚われていたかを明らかにして、「憎悪と狂信の考古学」を描出する。
ラトゥールの著作はすでに日本では紹介されているが、本書は難解とされるラトゥールの方法論が簡潔に展開されており、科学論や文化人類学という多面的な読者へのまとまった案内書でもある。
- 近代の〈物神事実〉崇拝について
序文 - 第一部 魔力をもつ対象、事実としての対象
いかにして近代人は新たに接触する集団のもとに物神を作るのか
いかにして近代人は自分たちのもとで物神を構築するに至るのか
いかにして近代人は事実と物神を区別しようと努め、しかしそれに成功しないのか
いかにして事実と物神は近代人のもとでさえその効力を混ぜ合わせるのか
いかにして「物神事実」の技量は理論から逃れるのか
いかにして反物神崇拝者を描写するのか
いかにして近代人の分裂した物神事実を描くのか - 第二部 転移的恐怖
いかにして郊外の移民を利用して密輸の崇拝物を入手するのか
いかにして内在性と外在性なしで済ませるのか
いかにして数は物の「仕様書」を作成するのか
いかにして恐怖を転移するのか
いかにして「出来事に超過された」行為を理解するのか - 結論
- 聖像衝突
典型的な聖像衝突
なぜ像はこれほどの情熱を掻き立てるのか
聖像破壊についての展覧会
宗教、科学、芸術――三つの異なる像制作の様式
どの対象を選択すべきか
聖像破壊的な所作の分類
像論争の彼方へ――像の契機
『聖像衝突』の付録(カタログの目次) - 〖訳者解題〗 超越の制作
この記事では『『近代の〈物神事実〉崇拝について―ならびに「聖像衝突」』の参考文献・関連書籍についてご紹介します。
ラトゥールの関連書籍・邦訳書
奥野克巳, 久保明教, 檜垣立哉, 近藤和敬, 田中祐理子他(2023)『現代思想2023年3月号 特集=ブルーノ・ラトゥール ―1947-2022』青土社
久保明教(2019)『ブルーノ・ラトゥールの取説 (シリーズ〈哲学への扉〉)』月曜社
ブリュノ・ラトゥール(2019)『社会的なものを組み直す: アクターネットワーク理論入門』法政大学出版局
ブリュノ・ラトゥール, スティーヴ・ウールガー(2021)『ラボラトリー・ライフ―科学的事実の構築』ナカニシヤ出版
ブリュノ・ラトゥール(2008)『虚構の「近代」―科学人類学は警告する』新評論
ブリュノ・ラトゥール(2019)『地球に降り立つ: 新気候体制を生き抜くための政治』新評論
ブリュノ・ラトゥール(2020)『諸世界の戦争 平和はいかが?』
ブリュノ・ラトゥール(1988)『細菌と戦うパストゥール』偕成社
ブリュノ・ラトゥール, ヴァンサン・アントナン・レピネ(2021)『情念の経済学: タルド経済心理学入門』人文書院
ブリュノ・ラトゥール(1999)『科学が作られているとき―人類学的考察』産業図書
第一部 魔力をもつ対象、事実としての対象
ポール・ヴェーヌ(1985)『ギリシア人は神話を信じたか―世界を構成する想像力にかんする試論』法政大学出版局
ミッシェル・セール(1997)『彫像: 定礎の書』
マルクス(1969)『マルクス 資本論 1』岩波書店
著:カール マルクス, 原名:Marx,Karl, 翻訳:仁司, 今村, 翻訳:直, 鈴木, 翻訳:憲一, 三島
カール・ポラニー(2009)『[新訳]大転換』東洋経済新報社
リュック・ボルタンスキー, ローラン・テヴノー(2007)『正当化の理論―偉大さのエコノミー』新曜社
著:ボルタンスキー,リュック, 著:テヴノー,ローラン, 原名:Boltanski,Luc, 原名:Th´evenot,Laurent, 翻訳:直希, 三浦
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