文献探索

【参考文献の探し方・集め方】

 
文献探索
このページでわかること
  • 文献探索に活用できるデータベース
  • 文献探索に行き詰まったときのコツ
  • 参考文献リストを活用した文献探索法
  • 図書館、書店、古書店を活用した文献探索法
  • その他のお役立ちツール

はじめに

レポートや卒業論文の作成、独学を進める上で、適切な参考文献を見つけることは、情報過多の社会においてはとても重要なスキルです。

適切な情報源を見つけることによって、自身の知識と理解を深め、アウトプットの信頼性を高めることができます。

このページは、効果的な参考文献の探し方について、簡潔かつ実践的な手法やヒントを提供することを目的としています。

以下では、さまざまな学問領域や研究テーマに対して応用できる、情報収集手法データベースの活用法、邦語文献を主とした学術論文や専門書の見つけ方など、具体的なステップを紹介しています。

また、無料のオンラインリソースやライブラリ等のお役立ちツールについてもできるだけ紹介しています(随時追加予定)。

キーワードで探す

キーワードが明確な場合

既に検索したいワードが頭にある場合は、データベースを使って調べてみましょう。

データベースを使うことで、どのような文献があるのかということや、その文献の書誌情報(タイトル、著者、掲載雑誌、掲載巻・号・ページ、出版年、抄録など)を調べることができます。

主要なデータベース一覧

ここでは無料で使用できるオンラインデータベースをまとめていますので実際に使用してみてください。

データベースごとに検索条件や検索結果から得られる情報が異なるため、用途に応じて複数のデータベースを並行して活用することをオススメします。
※本ページの画面キャプチャーは実際の画面と若干異なる場合があります

CiNii Research(国立情報学研究所)

日本最大規模の学術情報検索サービス。

公開基盤に登録された研究成果や論文情報、図書、研究データ、研究者、研究プロジェクトの情報などを包括して検索することが可能です。

IRDB 学術機関リポジトリデータベース(国立情報学研究所)

日本国内の学術機関リポジトリ(ネット上の保存書庫)に登録されたコンテンツのメタデータを収集し、提供するデータベース・サービス。

学術雑誌論文、学位論文、研究紀要、研究報告書等を横断的に検索可能です。

J-STAGE(科学技術振興機構)

日本の学協会が発行する学会誌や予稿集などを検索・閲覧することができるデータベース。

検索結果ではPDFを無料で入手できるものが多く表示されるので、無料で情報を集めたいときには使えるサービスです。

メインの検索窓のほか、新着タイトルやアクセス数ランキングなどが表示されており、情報量が多いのが特徴です。

国立国会図書館サーチ(NDL Search)

国立国会図書館と他機関の資料・デジタルコンテンツを統合的に検索できるサービスで、全国の公共・大学・専門図書館や学術研究機関等が提供する資料が検索できます。

あいまいな表現から資料を探す機能や、よく利用する図書館などを設定して個人に合わせてカスタマイズできる機能などが提供されています。

更新)2024/01/05に「国立国会図書館サーチ」はリニューアルされ、UIの変更だけでなく、書誌情報の出力、著者やテーマに関連する書籍のおすすめ表示等の機能が追加されています。
リニューアルに関する情報はこちら

キーワードが明確でない場合

キーワードの探し方

キーワードの見当がつかないときや、データベースを検索しても適当な文献がヒットしないときは、以下のような方法でキーワードの再検討を行います。

上位語/下位語を当たる

探しているテーマ以外の文献が数多くヒットしてしまう時は、そのキーワードが抽象的すぎる可能性があります。
その場合は、より具体的・専門的・限定的なキーワード(下位語)に変えて検索します。

一方で、あまり文献がヒットしない時は、そのキーワードが具体的すぎる可能性があります。
その場合は、より広義で一般的なキーワード(上位語)に変えて検索します。

日本十進分類法(NDC)

上位語/下位語の探索には、日本十進分類法(NDC)の利用が有効です。

NDCとは、日本の図書館で広く使われている図書分類法で、上位の概念(主題)から下位の概念へと展開する階層構造をなしています。

例えば、「無政府主義」についての文献は3(社会科学)→300(社会科学)→309(社会思想)→309.7(無政府主義)という分類に位置します。

NDCを利用した文献探索には『NDC Predictor』(国立国会図書館)を使うと効率的です。
テキストエリアに入力された情報から日本十進分類(NDC9版)を推測して表示してくれます。

類義語、関連語を当たる

狙った検索結果が得られない場合、キーワードと異なる用語が文献上では使用されている場合があります。

その場合は、類義語関連語での検索を試してみましょう。

辞典・百科事典

類義語、関連語の探索には、辞典百科事典での検索が有効です。

専門家による包括的かつ簡潔な解説がなされており、信頼性が高いという点で基礎知識の整理にも活用できます。

インターネットで利用できる辞典や百科事典には下記のようなサイトがあります。

コトバンク

『デジタル大辞泉』『世界大百科事典 第二版』『精選版 日本国語大辞典』などの日本の出版社が提供する辞書・百科事典や、様々な分野の企業が提供する用語集・データベースから構成されています。

Weblio

インターネット上で公開中の無料の百科事典、専門事典、辞書類500サイトの横断検索が可能です。

辞書横断検索Metapedia

インターネット上で公開されている約500の辞書・辞典・用語集サイトの一括検索が可能です。

キーワード、テーマの探索に便利なツール

思ったように検索結果が得られずに行き詰まっているときは、下記のような検索システムを活用することで、思わぬキーワードやテーマとの出会いがあるかもしれません。

国立国会図書館サーチ(NDL Search)

NDLサーチは、国立国会図書館が提供している検索サービスで、本だけでなく論文やデジタル資料など膨大な資料の検索が可能です。

検索結果画面では、検索した言葉の関連キーワードが閲覧可能なため、そこから検索キーワードを広げることができます。

その他、Google Scholarなど外部サービスや各種検索エンジンでの再検索が容易にできるため、文献の探索にもそのまま利用できます。

新書マップ(NPO法人連想出版)

新書マップは、連想検索によってテーマごとに関連する新書や選書をリストアップしてくれるサービスです。

漠然とした知識を整理する上で、最初に手に取るべき一冊を提案してくれます。

たとえば「日本の労働問題」と入力して検索すると「過労・過労死」「能力主義、成果主義」「外国人労働者」など、関連するキーワードが視覚的にわかりやすいマップの形で表示されます。

提案された語句をクリックすることで、関連する本のリスト、本の概要や目次、それらを読み解くための読書ガイドの閲覧が可能です。

邦語文献を対象とする参考調査便覧(書誌研究の会)

計3万個以上の個人名やキーワードに関連する参考図書が計12万冊以上列挙されているサイト。

便覧はNDCの展開順に沿った配列となっているため、NDCの分類名や番号が特定できていれば、ページ内検索で目的の項目までジャンプし、文献の書誌情報や隣接分野の探索が可能です。

参考文献リストで探す

参考文献リストとは

研究書や学術論文の巻末や章末には、執筆にあたって引用・参考にした参考文献リスト(レファレンスリスト)が掲載されています。

その参考文献リストにある文献を手に取り、さらにその文献の参考文献リストを芋づる式にたどることで、そのテーマに関する参考文献を集めることができます。

さらに、複数の文献で参照されている文献があれば、そのテーマにおいて主要な文献と判断することもできます。

ただし、参考文献リストに掲載されている文献は、そのリストを掲載した文献よりも前に出版された文献であるため、最新の情報ではないことに留意が必要です。

参考図書/入門書・概説書

参考文献リストが掲載されている資料は、研究書や学術論文に限りません。

特に初学者にとっては、事典・辞書・ハンドブック等の参考図書や、入門書・概説書をまず手に取り、参考文献リストに目を通してみることをおすすめします。

本サイトでも、入門書・概説書の参考文献をまとめた投稿があります。

本サイトでは、その他にも人文系の書籍を中心に参考文献・関連書籍をまとめています。

毎週1冊ずつ厳選して投稿しておりますので、気になる方はブックマークやTwitterアカウントのフォローをお願いします(新刊情報まとめも要チェック!)。

博論本

入門書や概説書よりは難易度が上がりますが、博士論文を書籍化した「博論本」も参考になります。

優れた博論本では序章や第一章などで、先行研究の整理が丁寧になされており研究史を外観できることが多いです。

興味のあるテーマだった場合は、博士論文だからといって遠ざけずに序章や参考文献リストだけでも目を通すことをおすすめします。

図書館・書店で探す

ブラウジング

図書館や書店で背表紙を見て探したり、雑誌の目次を目で見て探す方法で、「ブラウジング」とも呼ばれます。

同じ棚から関連する資料が見つけやすく、その場で実際に手に取り目を通すことができるという利点があります。

さらに、データベースの検索には引っ掛からなかった、文献とのアクシデンタルな出会いがあるのもブラウジングの利点です。

主な所蔵検索サービス一覧

以下のような検索サービスを活用することで全国の公共図書館や大学図書館の所蔵を確認したり、予約したりすることができます。

カーリル

全国の図書館の蔵書情報と貸出状況を検索できるサービス。
一度の検索で、複数の図書館の蔵書とAmazon等の書誌データベースを統合検索できます。

また、地名を選択して検索すると、そこから近い図書館を自動的に選択して検索できるため、欲しい本が近くの図書館で貸出可能か確認可能です。

CiNii Books(国立情報学研究所)

全国の大学図書館(約1,300館)が所蔵する本(図書や雑誌等)の情報を検索できるサービス。
図書・雑誌のページから各大学図書館OPACに直接リンクしており、貸出状況等の詳細な情報を確認できます。

また、CiNii Articlesに本文が収録されていれば、リンクから本文を表示することも可能です。

国立国会図書館オンライン(国立国会図書館)

国立国会図書館の所蔵資料及び国立国会図書館で利用可能なデジタルコンテンツを検索し、各種の申込み(閲覧・取寄せ・複写など)ができるサービス。

国立国会図書館デジタルコレクション、近代デジタルライブラリーなどの「電子図書館」の蔵書や、国会会議録などは資料の内容までこのサイトからもたどることができます。

購入サイトで探す

新刊を探す

Amazon

書籍、雑誌などの検索・注文が可能で、電子書籍の取り扱いを行なっています。関連商品で思わぬ文献との出会いもあります。
書籍以外のショッピングもするならAmazonがおすすめです。

honto

ネット書店・電子書籍ストアのhontoとリアル書店の丸善、ジュンク堂、文教堂などが連携したサイト。
ポイントが電子書籍・ネット書店・リアル書店で共通しているため上記の書店を利用している方にはおすすめです。

本屋のリンク

オンライン書店や電子書籍ストアがまとめられているサイト。
送料・手数料・配送方法などの特徴が分かりやすく比較されています。

古本を探す

絶版本や図書館に蔵書がない場合、古本が必要になる場合もあります
以下では、ネット上で利用可能な古本購入サイトを紹介します。

スーパー源氏

膨大な古書の登録量に加え、学問領域別の検索などのユニークな検索が可能です。
また、古本フェアやイベント情報が閲覧できるといったお役立ちツールも豊富。

日本の古本屋

東京都古書商業協同組合に加盟している全国の古本屋が参加しており、古書検索だけでなく古書店の検索も可能です。
こちらも「スーパー源氏」と同様に全国の古書イベントの情報収集も可能です。

BOOK TOWN じんぼう

神保町の古書店の在庫データベースを対象に検索を行うことができるサイト。
言葉や文章から連想検索をすることが可能な点が魅力です。

想-IMAGINE Book Search

入力した言葉や文章をもとに様々なデータベースや外部検索システムを横断的に「連想検索」できるサービス。

検索対象には上で紹介した「日本の古本屋」や「BOOK TOWN じんぼう」「新書マップ」などが含まれます。

その他のお役立ちツール

リンク集

人文リンク集(国会国立図書館)

国立国会図書館が運営している「リサーチ・ナビ」の配下にある、人文科学およびジャンル横断的な調べものに役立つデータベースへのリンク集です。

定期的な更新・メンテンナンスが行われており、現行で使える最大規模のリンク集です。

検索エンジン

Google Scholar

学術論文などの学術情報に特化した検索エンジン。
学術専門誌、論文、図書、要約など、さまざまな分野の学術資料を検索できます。

検索結果は、引用された回数の多い順に並べられるので、有用な論文などを見付けることができます。

アーカイブ

国書データベース(国文学研究資料館)

日本国内外の機関及び国文学研究資料館が所蔵する古典籍(江戸時代以前の書籍)等資料の書誌情報と、その一部の高精細画像を一度に検索・利用できるデータベース。

ジャパンサーチ(デジタルアーカイブジャパン推進委員会・国立国会図書館)

図書館、博物館、美術館、公文書館、大学、研究機関、官庁、地方自治体等の機関が所蔵しているコンテンツを探すことができるデータベース。

コンテンツの分野は、書籍・公文書・文化財・美術・人文学・自然史/理工学・学術資産・放送番組・映画など、多岐にわたります。

nihuBridge(人間文化研究機構)

人間文化研究機構が提供する横断検索サービス ・国立歴史民俗博物館、国文学研究資料館など歴史的資料を中心に100を越えるデータベースを対象に検索可能。

WARP 国立国会図書館インターネット資料収集保存事業

日本国内のウェブサイトを定期的に収集して保存するウェブアーカイビングプロジェクト。
収集した当時の状態のウェブサイトを閲覧することができます。

統計

e-Stat 政府統計の総合窓口

日本の各府省の統計データをキーワード・分野・ 組織名から探すことが可能。
表の検索、データ抽出、グラフの作成、データのダウンロード等の機能を提供しています。

参考文献

読書猿(2020)『独学大全―絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』ダイヤモンド社
入矢玲子(2020)『プロ司書の検索術: 「本当に欲しかった情報」の見つけ方』日外アソシエーツ
伊藤民雄(2022)『インターネットで文献探索 2022年版』日本図書館協会
小林昌樹(2022)『調べる技術―国会図書館秘伝のレファレンス・チップス』皓星社

comment

タイトルとURLをコピーしました