新刊紹介

新刊紹介_20230826

 
新刊紹介

東浩紀『訂正可能性の哲学』ゲンロン

概要

正しいことしか許されない時代に、「誤る」ことの価値を考える。
世界を覆う分断と人工知能の幻想を乗り越えるためには、「訂正可能性」に開かれることが必要だ。ウィトゲンシュタインを、ルソーを、ドストエフスキーを、アーレントを新たに読み替え、ビッグデータからこぼれ落ちる「私」の固有性をすくい出す。ベストセラー『観光客の哲学』をさらに先に進める、著者30年の到達点。

目次
  • 第1部 家族と訂正可能性
    第1章 家族的なものとその敵
    第2章 訂正可能性の共同体
    第3章 家族と観光客
    第4章 持続する公共性へ
  • 第2部 一般意志再考
    第5章 人工知能民主主義の誕生
    第6章 一般意志という謎
    第7章 ビッグデータと「私」の問題
    第8章 自然と訂正可能性
    第9章 対話、結社、民主主義
  • おわりに
  • 文献一覧
  • 索引

伊藤守『メディア論の冒険者たち』東京大学出版会

概要

メディアについての議論百出諸説紛紛。ベンヤミン、マクルーハン、ボードリヤール、エーコ、マクロビー、キットラー、マノヴィッチ、ラマール、ホイ……。彼ら/彼女らがメディアに関して紡いだ思考の核心を浮かび上がらせる。第一線で活躍するメディア研究者が執筆するメディア論を知り学ぶための最強テキスト。

目次
  • はじめに(伊藤 守)
  • Ⅰ メディア論の目覚め
    ガブリエル・タルド:モナド論からメディア論へ(伊藤 守)
    ヴァルター・ベンヤミン:媒質から複製技術メディアへ(竹峰義和)
    テオドール・W・アドルノ:同一化と抵抗の弁証法(竹峰義和)
    レイモンド・ウィリアムズ:テレビのフォームとフォーメーション(山田雄三)
    マーシャル・マクルーハン:メディア論の発見者(門林岳史)
  • Ⅱ メディア論の展開
    ジャン・ボードリヤール:モノの記号論からメディアのシミュラークル論へ(塚原 史)
    ウンベルト・エーコ:偶然からのメディア論!?(西 兼志)
    スチュアート・ホール:イデオロギー分析としてのメディア論へ(有元 健)
    アンジェラ・マクロビー:フェミニスト・カルチュラル・スタディーズの広がる領野(河野真太郎)
    レイ・チョウ:眼差す力とメディア(本橋哲也)
    フェリックス・ガタリ:Machine=「機械」の思想(伊藤 守)
    フランコ・ベラルディ(ビフォ):アウトノミア運動と自由ラジオ(毛利嘉孝)
    ポール・ヴィリリオ:メディア技術の速度(今関裕太)
  • Ⅲ デジタルのメディア論
    フリードリヒ・キットラー:メディアの系譜学と技術への問い(大宮勘一郎)
    ベルナール・スティグレール:〈アテンション〉からのメディア哲学(西 兼志)
    マーク・B・N・ハンセン:テクノロジーと身体の媒介者(増田展大)
    レフ・マノヴィッチ:デジタル文化のメディア論(堀 潤之)
    アレクサンダー・ギャロウェイ:脱中心化以後のコントロールはいかに作動するのか(松谷容作)
    マシュー・フラー:ソフトウェア・スタディーズを組織するメディア実践者(毛利嘉孝)
  • Ⅳ メディア論の最前線
    トーマス・ラマール:アニメを通して思考するメディアの理論化(藤木秀朗)
    ヘンリー・ジェンキンズ:媒介(メディエイト)される文化(渡部宏樹)
    ロザリンド・ギル:変容し続けるメディア・ランドスケープと女性性(飯田麻結)
    サラ・バネット=ワイザー:メディア文化と両義性の政治(田中東子)
    ジョディ・ディーン:メディア論と左翼政治の交点に立つコミュニスト政治学者(水嶋一憲)
    エルキ・フータモ/ユッシ・パリッカ:メディア考古学はどこへ向かうか(大久保 遼)
    ブライアン・マッスミ:〈不安/恐れ〉とテクノロジー(伊藤 守)
    ユク・ホイ:宇宙技芸の多様性(原島大輔)
  • おわりに(伊藤 守)

トーマス・ラマール『アニメ・エコロジー―テレビ、アニメーション、ゲームの系譜学』名古屋大学出版会

概要

テレビでアニメを見る――それはどのような経験なのか。「ポケモン・ショック」から現代のメディアミックスまで、視聴者の脳・身体を巻き込み、テレビ、アニメーション、ゲームが動的に接続されるメディア環境についての思考を拓く。『アニメ・マシーン』の著者による、新たな時代の映像論。

目次
  • 序 論 テレビアニメとインフラストラクチャー・エコロジー
  • 第Ⅰ部 脳=スクリーン装置
    第1章 全国民規模の発作—— ポケモン・ショックをめぐって
    第2章 神経科学とテレビ
    第3章 瞬きという名の素材
    第4章 千の小さな電源停止/失神ブラックアウト
  • 第Ⅱ部 テレビの社会的メディア小史
    第5章 メディアの系譜学とトランスメディア・エコロジー
    第6章 日本のテレビ小史
    第7章 テレビとニューメディア
    第8章 社会性ソーシャリティ、あるいはそれに類するもの
    第9章 プラットフォーマティヴィティと存在権力オントパワー
  • 第Ⅲ部 インフラストラクチャー・コンプレックス
    第10章 ファミリー・ブロードキャスト・コンプレックス——『クレヨンしんちゃん』
    第11章 ホームシアター・コンプレックス——『名探偵コナン』
    第12章 ゲームプレイ・コンプレックス——『.hack』
  • 第13章 ポータブル・インターフェイス・コンプレックス——『ペルソナ4』
  • 結 論 信号的アニミズム
  • 謝 辞
  • 解題 アニメ・エコロジーは来るべきエコソフィーの扉を開く(上野俊哉)
  • 参考文献
  • 図版一覧
  • 索 引

トーマス・S・マラニー, クリストファー・レア『リサーチのはじめかた―「きみの問い」を見つけ、育て、伝える方法』筑摩書房

著:トーマス・S・マラニー, 著:クリストファー・レア, 著:安原和見
概要

スタンフォード大とUBCの教授が18年かけて磨き上げたリサーチの極意、待望の翻訳!
読書猿氏推薦!「知はすべて「あなたの感想」から始まる」
最もむずかしいのは、リサーチをはじめる前の段階だ。
学生からビジネスパーソンまで、課題に取り組む全ての人必読!

「⾃分にとってほんとうに重要な問い」をどうやってみつけるか、
その問いを他人と共有するために、どのように書き、研究を設計するか、
〈⾃分中⼼の研究〉を楽しくおこなう⽅法を、演習問題を交えてやさしく講義する。
これ一冊で何度でも使える、一生モノのリサーチガイド!

研究はとても楽しい。ひとつには、少なくとも理屈の上ではなんでも研究できるからである。 しかし、だからこそ人は途方に暮れてしまう。
いったいどこから始めたらいいのだろう。
その答えはこうだ──まさにいま、きみが立っている場所からだ。
本書の柱をなすのはふたつの命題である。ひとつ、最初にいくつかの条件を適切にクリアすれば、研究は人生を変えるような経験になりうる。ふたつ、研究に着手するさいに最も重要なのは、自分の中心を見つけることである。研究とはたんに問題を解決する作業ではなく、そんな問題が存在することすらきみが──そして他の人々が──知らなかったような、そういう問題を見つける作業でもある。(・・・)自分はなにが研究したかったのか、それをきみに教えられるのはきみ自身だけ、ほかのだれでもない。「なにを研究するか」という問いに答えるには、鏡をじっくり見つめるしかないのである。
(「はじめに」より) 

目次
  • はじめに
  • 第1部 自 分 中 心 の 研 究 者 に な る
    第1章 問いとは?
    第2章 きみの問題は?
    第3章 成功するプロジェクトを設計する
  • 第2部 自 分 の 枠 を 超 え る
    第4章 きみの〈問題集団〉の見つけかた
    第5章 〈分野〉の歩きかた
    第6章 はじめかた
  • おわりに 研究者としての未来、次に待つものは?
  • 謝辞
  • 参考図書

小林美香『ジェンダー目線の広告観察』現代書館

概要

コンプレックスを刺激する脱毛・美容広告、バリエーションの少ない「デキる男」像。公共空間にあふれる広告を読み解き、「らしさ」の呪縛に抵抗する。

広告と経済の関係を考え、私たちのものの見方が、どれほどそれらのイメージから影響を受けているかを理解することは、消費社会の中で私たちがどのように生活しているのか振り返ることにつながるはずです。(まえがきより)

目次
  • 1 広告観察を始める前に
  • 2 広告観察日記 2018-2023
  • 3 脱毛広告観察 脱毛・美容広告から読み解くジェンダー・人種・身体規範
  • 4 「デキる男」像の呪縛を解くために
  • 5 性感染症予防啓発は誰のため?:広報ポスターから考えるこれからの性教育
  • 6 対談:広告だけに文化のすべてを担わせてはならない 笛美×小林美香
  • 7 対談:広告と公共性 消費者教育のためのメディアリテラシー 尾辻かな子×小林美香
  • 8 「写真歌謡」試論

POSSE編集部『POSSE vol.54 【特集】地方移住の先にユートピアはあるのか?』堀之内出版

著:小松理虔, 著:伊藤綾
概要

【特集】地方移住の先にユートピアはあるのか?
小松理虔×伊藤綾×五十嵐泰正/寺井元一×西本千尋/林 凌/佐々木大記

資本主義的な都市部でのライフスタイルを拒否しオルタナティヴを求めるような流れは、コロナ禍のテレワークの広がりの後押しも得て、都市からの移住を促し「移住ブーム」ともいえる状況を生み出している。
こうした状況をどうみるべきだろうか。本特集では、移住先での生活や地域のあり方についての課題を、それぞれの地域にかかわりをもち、実践している方々の座談会やインタビューによって多角的に捉えようと試みた。
移住ブームのなかで見落とされがちな地域の課題や論点を拾い上げ、移住と地域における未来の可能性を探る。

目次
  • 【新連載】
    ◆オメラスから発つ道の途上で
    第1回 「被害」の消費ではなく、不公正を告発するためのメディアを 岩本菜々(POSSE学生ボランティア)
  • 【最新情勢インタビュー】
    ◆ハリウッドのストライキ
    シャバーリ・アーメッド(脚本家、小説家)
    ◆技能実習制度の廃止をめぐる議論と入管法改悪──今後の日本の労働市場における外国人労働者の立ち位置と労働運動の課題指宿昭一(弁護士)
  • 【特集】地方移住の先にユートピアはあるのか?
    ◆[鼎談]移住支援のトップランナーが語る、これからの日本に必要な「まちづくり」とは?──振興だけじゃなく、今こそ「縮退」の議論を小松理虔(地域活動家)伊藤綾(きら星株式会社代表取締役)五十嵐泰正(筑波大学人文社会系教授)
    ◆[インタビュー]「移住支援」をしていたら「福祉支援」をやることに?!──キラキラ移住物語の裏側にある実態と移住支援におけるケアの不在寺井元一(株式会社まちづクリエイティブ代表取締役・NPO法人KOMPOSITION代表理事)西本千尋(NPO法人KOMPOSITION理事)
    ◆[論考]「広範囲の都市化」と地方移住──淡路島が「社会の最前線」の経由地となるとき林 凌(日本学術振興会特別研究員PD)
    ◆[論考]地方移住再考──かわまた田んぼリンクから佐々木大記(かわまた田んぼリンククラブ代表)
  • 【新連載】
    ◆社会運動史研究者がスポットワークをやってみて
  • 第1回 このままでは暮らせない──賃金の上がらない国日本 黒川伊織(神戸大学大学院国際文化学研究科協力研究員)
    ◆困窮する移民・難民の生存権を求めて
    第1回 「人として生きていく」ことが許されない大澤優真(つくろい東京ファンド/北関東医療相談会)
    ◆ラディカル・アメリカ──トランス・パシフィック・レーバー・ヒストリー 第1回 篠田 徹(早稲田大学教授)
    ◆生活相談Q&A 「毒親」のいる実家脱出のための生活保護フル活用マニュアル 今岡直之(POSSE生活相談班)
  • 【単発】
    ◆労働組合運動の新たな形──「非正規春闘」とは何か(下)青木耕太郎(総合サポートユニオン共同代表)
    ◆家事労働過労死裁判に取り組む意義とその射程 佐藤 学(NPO法人POSSE・総合サポートユニオン)
  • 【連載】
    ◆スポーツとブラック企業 第15回 スポーツ村を変えるために──外部の意見を大切に 常見陽平(千葉商科大学国際教養学部准教授)
    ◆父の過労死──会社と闘ってきた10年間 第6回 家事労働者過労死裁判の支援活動から見えてきた社会運動の可能性 高橋優希
    ◆POSSE最新ブックレビュー

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