新刊紹介

新刊紹介_20240117

 
新刊紹介

熊代亨『「推し」で心はみたされる?―21世紀の心理的充足のトレンド』大和書房

概要

精神科医が迫る、「推し」ブームが起きているワケ
2021年紀伊國屋じんぶん大賞第4位の気鋭の著者による「推し」の精神分析

なぜ、ここまで多くの人が「推し」にハマるのか?
学校、職場、地域といった共同体が衰退し、気の合う者だけで付き合えるようになった現代社会。
そこで、息を吹き返したのは旧くて新しい「つながり」だった――

目次
  • 第1章 承認の時代から「推し」の時代へ――21世紀の心理的充足のトレンド
  • 第2章 推したい気持ちの正体――SNS時代のナルシシズム
  • 第3章 「いいね」と「推し」に充たされ、あるいは病んで――自己愛パーソナリティの時代と成熟困難
  • 第4章 「推し」をとおして生きていく――淡くて長い人間関係を求めて
  • 第5章 「推し」でもっと強くなれ――生涯にわたる充足と成長

中央公論新社編『50歳からの読書案内』中央公論新社

概要

50歳は「人生100年時代」の折り返し地点。大きな節目を迎え、後半戦をどう生きるか考えるとき、ヒントとなり支えにもなる本とは。各界の著名人が50歳以降も読み続け、読み返す座右の書50冊を紹介。絵本から古今東西の古典まで、人生経験に裏打ちされた大人のための読書エッセイ集。

目次
  • Ⅰ途上―折り返し地点をこえて見えるもの
    藤森照信/関川夏央/北村薫/平田俊子/保阪正康/宮田珠己/養老孟司/俵万智/上野千鶴子/黒井千次
  • Ⅱ道標―人生の転機にノウハウ本は役立たない
    冨山和彦/仲野徹/内田樹/原研哉/佐治晴夫/松田哲夫/末井昭/和嶋慎治/内田洋子/落合恵子
  • Ⅲ冒険―世界への窓はいつでも開いている
    窪美澄/橋爪大三郎/近藤サト/小池昌代/酒井順子/三浦雄一郎/角野栄子/小林聡美/南伸坊/横尾忠則/小川洋子
  • Ⅳ再読―二度目からが本当の読書である
    川本三郎/伊藤比呂美/鈴木保奈美/大竹しのぶ/宇能鴻一郎/松岡和子/竹内薫/中村桂子/小池真理子/里中満智子
  • Ⅴ再発見―その本は見事な変身をとげた
    岡本裕一朗/若島正/ブレイディみかこ/中園ミホ/安田登/楠木新/金井美恵子/平松洋子/四方田犬彦

中井亜佐子『エドワード・サイード―ある批評家の残響』書肆侃侃房

概要

エドワード・サイード没後20年
文学、音楽、パレスチナ問題など分野横断的に論じた批評家、エドワード・サイード。ポストコロニアル批評の先駆者として『オリエンタリズム』などの著作を残した。イスラエルによるガザへの軍事攻撃が激化。いまサイードの著作が読みなおされている。彼にとって、批評とはどのような営為だったのか? 没後20年をむかえた今、その思考の軌跡をたどりつつ、現代社会における批評の意義を問う。

【エドワード・サイードとは?】
1935年、エルサレム生まれ。幼少期をカイロで過ごす。ハーヴァード大学で博士号を取得。その後、コロンビア大学で比較文学を教えつつ、パレスチナ解放運動にかかわる。主著『オリエンタリズム』は、人文学の学問領域の再編をうながす画期的な著作。2003年、ニューヨークで逝去、2023年に没後20年を迎えた。

目次

coming soon……

矢野久美子『アーレントから読む』みすず書房

概要

全体主義のなかで考え続けたハンナ・アーレント。長期にわたって難民・無国籍者として生活し、全体主義がもたらした地上の地獄を同時代人として経験した。
想像を絶する人類に対する犯罪を生み出した体制の本質を、アーレントは現実に負けない仕方で理解しようとした。戦争が終わったあとも続く全体主義の余波、それが壊したもの、世界との関係、それでも世界を愛することは可能か。
いまアーレントから世界を見たら、何が見えてくるだろうか。「生きた屍」「難民になること」「世界喪失」「人と人のあいだに生きること」「政治と自由」「理解すること」「共に何かを行なうこと」というアーレントの言葉を道しるべに、一方で全体主義について、他方で人間の自由の条件について考え抜いた、アーレントの思考の現場を洞察する。混迷を深める世界を生きるための思想。

目次
  • はじめに
  • 第一章 生きた屍
  • 第二章 難民について
  • 第三章 世界喪失に抗って
  • 第四章 自由について
  • 第五章 理解という営み
  • 第六章 世界を愛するということ
  • 第七章 ベンヤミン・エッセイをめぐって
  • 第八章 反逆する心という遺産
  • 第九章 「あいだ」にあるということ
  • 第十章 ローザの従姉妹
  • 第十一章 秩序の感覚
  • あとがき

柿並良佑, 難波阿丹編『「情動」論への招待―感情と情動のフロンティア』勁草書房

概要

情動論的転回以降、多分野で展開する研究と理論的思潮を紹介し多彩な議論を拓く。「触発し触発される」思考の多元的前線へようこそ。

なぜ今「情動」なのか? 90年代以降、英米圏を端緒とし多領域において情動が主要な問題系として浮上している。理性と感情、主体と客体といった二元論的思考を乗り越え、動態的な生の輪郭に接近するために。哲学・批評、メディア文化、フェミニズム、認知科学等の気鋭の論者12名が、感情と情動が切りひらく最前線を展望する。

目次
  • 序章[難波阿丹]
  • 第Ⅰ部 「情動」の基礎理論
    第1章 感情と心身因果――伝統的物理主義に抗して[長滝祥司]
    第2章 情動論的転回の展望[リサ・ブラックマン/飯田麻結訳]
    第3章 フランスにおける情動論――情動論的転回の「逆輸入」?[柿並良佑]
    第4章 フロイトにおける情動――意味論と経済論の齟齬をめぐって[遠藤不比人]
  • 第Ⅱ部 多元的「情動」論の現在
    第5章 映像「情動」論――顔なしの亡霊を召喚する[難波阿丹]
    第6章 導体になること――情動、交感、ASMR[野澤俊介]
    第7章 ビデオゲームにおける情動/感情――インターフェースと快・不快[向江駿佑]
    第8章 色でつなぐ五感と情動――イタリア未来派とモンテッソーリ教育の多感覚[日髙杏子]
  • 第Ⅲ部 「情動」の実践論
    第9章 ポピュラー・ミソジニーとポピュリズムの情動[河野真太郎]
    第10章 情動の「感染」とボディ・ポリティクス――パンデミックにみる情動の氾濫と伝達[飯田麻結]
    第11章 乳幼児期における情動の発達[深津さよこ]
    第12章 情動の生物学的基盤――脳と身体の相互作用の視点から[木村健太]
  • 終章に代えて[柿並良佑]
  • 編者・執筆者略歴
  • 索 引

金成玟『日韓ポピュラー音楽史―歌謡曲からK-POPの時代まで』慶應義塾大学出版会

概要

BTS、TWICE、BLACKPINCK、NewJeans――今や世界的人気を誇るK-POPアーティストたち。彼らの活躍の裏には日韓がおりなした数十年にわたる歴史があった。抑圧と解放に翻弄されながら、大衆の欲望は、ポピュラー音楽の舞台の上で、反射しあい、ねじれ、交差する。歌謡曲から、韓国演歌、J-POP、K-POPの時代まで、日本と韓国はいかに自己/他者のイメージを構築し、欲望しあい、「POPの夢」を見たか。もうひとつの日韓戦後史を描き出す。

◆登場するアーティストたち◆
坂本九、美空ひばり、李美子、李成愛、吉屋潤、パティ・キム、シン・ジュンヒョン、はっぴいえんど、YMO、チョー・ヨンピル、キム・ヨンジャ、ソテジワアイドゥル、H.O.T.、李博士、イ・サンウン、T-SQUARE、CHAGE and ASKA、X Japan、安室奈美恵、嵐、中島美嘉、草彅剛、渋谷系、シティポップ、BoA、東方神起、KARA、少女時代、TWICE、BTS、XG、YOASOBI、imase

装丁=大倉真一郎 装画=ワタナベケンイチ

目次
  • はじめに
  • 第Ⅰ部 歌謡曲の時代
    第1章 演歌/トロットの誕生と音楽なき「日韓国交正常化」──李美子「トンベクアガシ」と倭色禁止
    第2章 音楽大国日本への欲望──日韓のロックと「ヤマハ世界歌謡祭」
    第3章 「韓国演歌」の誕生と民主化前夜──李成愛、吉屋潤、チョー・ヨンピルの日本進出
  • 第Ⅱ部 J‐POPの時代
    第4章 J‐POP一極化と「アジアン・ポップス」──ソテジワアイドゥル以降の韓国ポップ
    第5章 禁止と開放の中間地点──T-SquareからX JAPANまで
    第6章 東アジアの文化権力を変えるK‐POP──「韓国型アイドル」の誕生
  • 第Ⅲ部 K‐POPの時代
    第7章 「J‐POP解禁」と2000年代日韓の軋轢──CHAGE and ASKA、安室奈美恵、嵐、そして渋谷系
    第8章 J-POPとK-POPの分かれ道──KARA、少女時代、TWICEが変えた秩序
    第9章 ポップの夢──BTS現象とシティポップ・ブーム
  • おわりに
  • あとがき
  • 参考文献
  • 索引