参考文献紹介

『反穀物の人類史―国家誕生のディープヒストリー』の参考文献

 
参考文献紹介
Information
著者ジェームズ・C・スコット
発行みすず書房
発売日2019/12/19

世界観を真に変革する、稀な書だ。
――A. サリヴァン(『ニューヨーク・マガジン』)

われわれの農業に偏った歴史観は、見直しを迫られるだろう。
――S. シャブロフスキー(『サイエンス』)

人類が文明と政治的秩序のために支払った大きな代償を、ずばり明らかにしている。
――W. シャイデル(『暴力と不平等の人類史』)

「ある感覚が要求してくる――わたしたちが定住し、穀物を栽培し、家畜を育てながら、現在国家とよんでいる新奇な制度によって支配される「臣民」となった経緯を知るために、深層史(ディープ・ヒストリー)を探れ、と…」
ティグリス=ユーフラテス川の流域に国家が生まれたのが、作物栽培と定住が始まってから4000年以上もあとだったのはなぜだろうか? 著者は「ホモ・サピエンスは待ちかねたように腰を落ち着けて永住し、数十万年におよぶ移動と周期的転居の生活を喜んで終わらせた」のではないと論じる。
キーワードは動植物、人間の〈飼い馴らし〉だ。それは「動植物の遺伝子構造と形態を変えてしまった。非常に人工的な環境が生まれ、そこにダーウィン的な選択圧が働いて、新しい適応が進んだ…人類もまた狭い空間への閉じこめによって、過密状態によって、身体活動や社会組織のパターンの変化によって、飼い馴らされてきた」
最初期の国家で非エリート層にのしかかった負担とは? 国家形成における穀物の役割とは? 農業国家による強制の手法と、その脆弱さとは? 考古学、人類学などの最新成果をもとに、壮大な仮説を提示する。

  • はじめに
  • 序章 ほころびだらけの物語――わたしの知らなかったこと
  • 1 火と植物と動物と……そしてわたしたちの飼い馴らし
  • 2 世界の景観修正――ドムス複合体
  • 3 動物原性感染症――病理学のパーフェクトストーム
  • 4 初期国家の農業生態系
  • 5 人口の管理――束縛と戦争
  • 6 初期国家の脆弱さ――分解としての崩壊
  • 7 野蛮人の黄金時代
  • 索引/原注/参考文献

この記事では『反穀物の人類史―国家誕生のディープヒストリー』の参考文献(邦語)についてご紹介します。

参考文献一覧

クリストファー・ベックウィズ(2017)『ユーラシア帝国の興亡: 世界史四〇〇〇年の震源地』筑摩書房
著:クリストファー ベックウィズ, 翻訳:斎藤 純男
ピーター・ベルウッド(2008)『農耕起源の人類史』京都大学学術出版会
エスター・ボズラップ(1975)『農業成長の諸条件―人口圧による農業変化の経済学』ミネルヴァ書房
著:エスター・ボズラップ, 翻訳:安沢 秀一, 翻訳:安沢 みね
ヒュー・ブロディ(2003)『エデンの彼方』草思社
著:ヒュー ブロディ, 翻訳:池 央耿
ピエール・クラストル(1987)『国家に抗する社会―政治人類学研究』水声社
著:ピエール クラストル, 翻訳:公三, 渡辺
ウィリアム・クロノン(1995)『変貌する大地―インディアンと植民者の環境史』勁草書房
著:ウィリアム クロノン, 原名:Cronon,William, 翻訳:敏行, 佐野, 翻訳:真理子, 藤田
ジャレド・ダイアモンド(2013)『銃・病原菌・鉄 上巻』草思社
著:ジャレド ダイアモンド, 翻訳:倉骨 彰
フランシス・フクヤマ(2013)『政治の起源 上 人類以前からフランス革命まで』講談社
ヨハン・ハウツブロム(1999)『火と文明化』法政大学出版局
デヴィッド・グレーバー(2016)『負債論 貨幣と暴力の5000年』以文社
著:デヴィッド・グレーバー, 翻訳:酒井 隆史, 翻訳:高祖 岩三郎, 翻訳:佐々木 夏子
ユヴァル・ノア・ハラリ(2016)『サピエンス全史 上下合本版 文明の構造と人類の幸福』河出書房新社
著:ユヴァル・ノア・ハラリ, 翻訳:柴田裕之
ジェイン・ジェイコブズ(2011)『都市の原理』鹿島出版会
著:ジェイン ジェイコブズ, 原名:Jacobs,Jane, 翻訳:利忠, 中江, 翻訳:洋一, 加賀谷
クロード・レヴィ・ストロース(1976)『野生の思考』みすず書房
著:クロード・レヴィ=ストロース, 翻訳:大橋 保夫
チャールズ・C・マン(2007)『1491―先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見』日本放送出版協会
著:チャールズ・C. マン, 原名:Mann,Charles C., 翻訳:由紀子, 布施
トーマス・マキューン(1992)『病気の起源―貧しさ病と豊かさ病』朝倉書店
著:トーマス マキューン, 原名:Mckeown,Thomas, 翻訳:シヅ, 酒井, 翻訳:靖夫, 田中
ウィリアム・H・マクニール(2007)『疫病と世界史(上)』中央公論新社
著:ウィリアム・H・マクニール, 翻訳:佐々木昭夫
ロンルド・L・ミーク(2015)『社会科学と高貴ならざる未開人―18世紀ヨーロッパにおける四段階理論の出現』昭和堂
著:ロンルド・L.ミーク, 翻訳:田中 秀夫, 翻訳:村井 路子, 翻訳:野原 慎司
スティーブン・ミズン(2015)『氷河期以後 (上) -紀元前二万年からはじまる人類史-』青土社
著:スティーヴン・ミズン, 翻訳:久保儀明
イアン・モリス(2014)『人類5万年 文明の興亡(上): なせ西洋が世界を支配しているのか』筑摩書房
著:イアン モリス, 原名:Morris,Ian, 翻訳:知子, 北川
スティーブン・ビンカー(2015)『暴力の人類史 上』青土社
著:スティーブン・ピンカー, 翻訳:幾島幸子, 翻訳:塩原通緒
マイケル・ポーラン(2012)『欲望の植物誌―人をあやつる4つの植物』八坂書房
著:マイケル ポーラン, 原名:Pollan,Michael, 翻訳:佐知子, 西田
クライブ・ポンティング(1994)『緑の世界史〈上〉』朝日新聞
著:クライブ ポンティング, 原名:Ponting,Clive, 翻訳:弘之, 石, 翻訳:京都大学環境史研究会
スティーヴン・J・パイン(2003)『火: その創造性と破壊性』法政大学出版局
著:スティーヴン・J. パイン, 原名:Pyne,Stephen J., 翻訳:章, 大平
アンソニー・リード(1997)『大航海時代の東南アジア〈1〉貿易風の下で』法政大学出版局
著:アンソニー リード, 原名:Reid,Anthony, 翻訳:秀秋, 平野, 翻訳:優子, 田中
マーシャル・サーリンズ(2012)『石器時代の経済学 〈新装版〉』法政大学出版局
ジェームズ・C・スコット(2013)『ゾミア―― 脱国家の世界史』みすず書房
著:ジェームズ・C・スコット, 監修:佐藤 仁, 翻訳:佐藤 仁, 翻訳:池田 一人, 翻訳:今村 真央, 翻訳:久保 忠行, 翻訳:田崎 郁子, 翻訳:内藤 大輔, 翻訳:中井 仙丈
パット・シップマン(2015)『ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた』原書房
著:パット シップマン, 原名:Shipman,Pat, 翻訳:信和, 河合, 翻訳:譲治, 柴田
トゥキュディデス(2000)『歴史〈1〉』京都大学学術出版会
著:トゥキュディデス, 原名:Thucydidis, 翻訳:藤縄 謙三
トクヴィル(2005)『アメリカのデモクラシー 第1巻 上』岩波書店
ブルース・G. トリッガー(2019)『世界の初期文明』同成社
リチャード・ランガム(2023)『火の賜物 【新装版 】』NTT出版