参考文献紹介

『機械カニバリズム―人間なきあとの人類学へ』の参考文献

 
参考文献紹介
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著者久保明教
発行講談社
発売日2018/09/12

「シンギュラリティ」「IoTで豊かな未来」「鉄腕アトム」「ターミネーター」……私たちは、機械を愛し、憎んでいる。では機械のほうから「私たち」を見たらどうなる? テクノロジーと深く結びつく人間は、あらたな存在に生まれ変わっているのかもしれない。
人類学者カストロは、アマゾンにおける食人=カニバリズムを、「他者の視点から自らを捉え、自己を他者としてつくりあげるための営為」として描き出した。「機械カニバリズム」は、テクノロジーによって私たちが変容ゆくことを捉える試みである。将棋ソフトによってプロ棋士と将棋が、SNSによってコミュニケーションと社会が、いままさに変容しているなか、「人間」観そのものが刷新されていくべきなのだ。気鋭の人類学者が、「現在のなかにある未来」を探る、痛快かつ真摯な思考!

川上量生氏コメント――
 わたしたちはAIが人間の能力を凌駕しつつある歴史的過程の中にいます。AIと人間とどちらが優れているのか、そういう問いが日常的に飛び交う世の中で過ごすのも、この時代に生を受けた運命としてはやむを得ないことでしょう。
  しかしながら実際にはこの問いは、そもそも正しくなかったことが明らかになってきました。いったい「優れている」とはなにか? AIとはなにか? そしてなによりも人間とはなにか? という、より大きな疑問が頭をもたげてきたからです。人間とはそもそも優れているのか、機械とは、そしてAIとはなにが違うというのか。そして真実が明るみになったときに、人類ははたして結果を受け入れることができるのでしょうか。
  いささか大袈裟ではありますが、人間社会がAIの時代を受け入れるための礎石にならん、という決意で始めた将棋電王戦を、本書はAI時代における社会的な役割から解き明かしてくれました。また、より大きな視点で、ニコニコ動画を含めたネット社会についても、人間と技術の関わりから、どう捉えるべきかを示してくれています。
  こういう議論はまだまだ始まったばかりで、21世紀の人類の最大の哲学的テーマであると思う次第です。

  • 第一章 現在のなかの未来
  • 第二章 ソフトという他者
  • 第三章 探索から評価へ
  • 第四章 知性と情動
  • 第五章 強さとは何か
  • 第六章 記号の離床
  • 第七章 監視からモニタリングへ
  • 第八章 生きている機械

この記事では『機械カニバリズム―人間なきあとの人類学へ』の参考文献・関連書籍についてご紹介します。

第一章 現在のなかの未来

井上智洋(2016)『人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊』文藝春秋
宮武公夫(2000)『テクノロジーの人類学―現代人類学の射程』岩波書店
『現代思想 2016年12月号 特集=霊長類学の最前線』青土社
著:山極 寿一, 著:田中 雅一, 著:中川 尚史, 著:中村 美知夫, 著:古市 剛史, 著:久保 明教
エドゥアルド・コーン(2016)『森は考える―人間的なるものを超えた人類学』亜紀書房
著:エドゥアルド・コーン, 翻訳:奥野 克巳, 翻訳:近藤 宏, 翻訳:近藤 祉秋, 翻訳:二文字屋 脩
エドゥアルド・ヴィヴェイロス・デ カストロ(2015)『食人の形而上学: ポスト構造主義的人類学への道』洛北出版
著:エドゥアルド・ヴィヴェイロス・デ カストロ, 原名:Castro,Eduardo Viveiros de, 翻訳:立哉, 檜垣, 翻訳:吾郎, 山崎
G・カンギレム(2023)『生命の認識〈新装版〉』法政大学出版局
春日直樹編(2011)『現実批判の人類学― 新世代のエスノグラフィへ』世界思想社
ヒューバート・L・ドレイファス(1992)『コンピュータには何ができないか―哲学的人工知能批判』産業図書
著:ヒューバート・L. ドレイファス, 原名:Dreyfus,Hubert L., 翻訳:政男, 黒崎, 翻訳:修, 村若
ダグラス・R・ホフスタッター, D・C・デネット(1992)『マインズ・アイ―コンピュータ時代の「心」と「私」〈上〉』阪急コミュニケーションズ
著:ダグラス・R. ホフスタッター, 著:デネット,D.C., 著:百大, 坂本

第二章 ソフトという他者

増川宏一(1985)『将棋 2 (ものと人間の文化史 23-2)』法政大学出版局
酒井隆史(2011)『通天閣 新・日本資本主義発達史』青土社
マイナビ編(2013)『第2回電王戦のすべて』マイナビ
著:マイナビ, 編集:マイナビ, 編集:毎日コミュニケーションズ=
夢枕獏, 海堂尊, 貴志祐介(2013)『ドキュメント電王戦: その時、人は何を考えたのか』徳間書店
羽生善治, 松原仁, 伊藤毅志(2009)『先を読む頭脳』新潮社
著:羽生善治, 著:伊藤毅志, 著:松原仁
日本将棋連盟『将棋世界 2013年 07月号』マイナビ

第三章 探索から評価へ

飯田弘之(2002)『コンピュータは名人を超えられるか』岩波書店
コンピュータ将棋協会監修(2012)『人間に勝つコンピュータ将棋の作り方』技術評論社
著:瀧澤 武信, 著:松原 仁, 著:古作 登, 著:橋本 剛, 著:小谷 善行, 著:鶴岡 慶雅, 著:山下 宏, 著:金子 知適, 著:保木 邦仁, 著:伊藤 毅志, 著:竹内 章, 著:篠田 正人, 監修:コンピュータ将棋協会, 編集:瀧澤 武信
羽生善治(2017)『人工知能の核心』NHK出版
著:羽生 善治, 著:NHKスペシャル取材班
梅田望夫(2009)『シリコンバレーから将棋を観る―羽生善治と現代』中央公論新社

第四章 知性と情動

春日直樹編(2016)『科学と文化をつなぐ: アナロジーという思考様式』東京大学出版会
アントニオ・R・ダマシオ(2010)『デカルトの誤り 情動、理性、人間の脳』筑摩書房
著:アントニオ・R・ダマシオ, 翻訳:田中 三彦

第五章 強さとは何か

『ユリイカ 2017年7月号 特集=加藤一二三 ―棋士という人生』青土社
著:加藤一二三, 著:羽生善治, 著:森内俊之
浜本満(2001)『秩序の方法―ケニア海岸地方の日常生活における儀礼的実践と語り』弘文堂
郡司 ペギオ‐幸夫(2006)『生命理論―第1部 生成する生命/第2部 私の意識とは何か』哲学書房
羽海野チカ(2010)『3月のライオン 4』白泉社
中村敏雄(2001)『オフサイドはなぜ反則か』平凡社
エリック・ホブズボウム, テレンス・レンジャー編(1992)『創られた伝統』紀伊國屋書店
編集:ホブズボウム,エリック, 編集:レンジャー,テレンス, 原名:Hobsbawm,Eric, 原名:Ranger,Terence, 翻訳:啓治, 前川, 翻訳:景昭, 梶原
大川慎太郎(2016)『不屈の棋士』講談社

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