稲垣諭『「くぐり抜け」の哲学』講談社
触れるでも、素通りするでもなく、「くぐり抜け」てみる。
共感とも感情移入とも違う――それは、「他者」を理解するための新しい方法論。
現象学から文学、社会学、生物学、人類学、リハビリテーション医療、舞踏、ゲーム・プレイ、男性性――
現代社会の諸相に向き合い続けることで浮かび上がる「弱さ」の正体。
個の強さが要請される今、他者とかかわり生き抜くための哲学的逍遥。
他者をくぐり抜けて理解するということは、その他者の周辺/環境情報を知るにとどまらず、その他者とのかかわりの中で自分自身を作り変えていくことなのだ。自分の身体に自分のものではない経験があって、それが動き始める局面をくぐり抜ける。(中略)その自分の変化に応じて、他者との距離が認知的にも、行為的にも変化する。そのような経験を積み重ねていくのだ。(本文より)
- はじめに ともに「くぐり抜ける」ために
- 1章 「くらげ」をくぐり抜ける――くらげの現象学
1.1 くらげの生にせまる
1.2 くぐり抜けの方法論:現象学というアプローチ
1.3 手を作ること
1.4 くらげの人文学史
1.5 踊るくらげと倦怠 - 2章 「現代社会」をくぐり抜ける――プレイとゲームの哲学
2.1 至高性のない世界へ
2.2 民主主義の他者をくぐり抜ける
2.3 傷つきしものはゲームを愛する
2.4 「人間のふるさと」へ向かって - 3章 「男性性」をくぐり抜ける――新しい人間のふるさとへ
3.1 ゲームに傷つけられる
3.2 (再)プレイとゲームの哲学
3.3 共感できないものに近づく
3.4 マイクロ・カインドネスを信じる - おわりに くぐり抜けたその先へ
- あとがき
朱喜哲『人類の会話のための哲学―ローティと21世紀のプラグマティズム』
「ローティという不世出の哲学者を、〈人類の会話〉の守護者であろうとし続けた人物として再発見する。」朱喜哲は、混沌とした現在の日本・世界でローティが注目されるべき意味を鮮やかに記した。
古代ギリシア以来の伝統につらなる哲学を筆頭として「唯一の真正な声」を求める営みは、ひとびとの小さな声をつぐませる。
「雑多で多様な複数の声たち」、その会話こそが人類が豊かに暮らす希望ではないか。
哲学者ローティは多くの批判を引き受けながら、その声たちを守ることこそを哲学の任務として引き受けた。
本書は、第一部はミサック、第二部はセラーズ、第三部はブランダムを中心的に扱うことで、先行研究から後世の視点も含め包括的なローティ像を描き出している。
また、同時に現代的な意義、政治や社会の状況に対してどのように参照しうるのかを明らかにした。
こうしてローティの思想を中心にプラグマティズムの意義が明らかにしていくことで、本書は古典から未来へ繋がる哲学の姿をも希望をもって浮かび上がらせる。
coming soon…
宇野重規, 加藤晋編著『政治哲学者は何を考えているのか?―メソドロジーをめぐる対話』勁草書房
リベラリズムや熟議民主主義など、現代政治哲学の重要論点を、異なる方法論をとる研究者たちが徹底討論。知的乱闘を含む対話の記録。
概念分析と論理的整合性に照準を合わせる政治哲学と、テキスト解釈と歴史的文脈から政治的思考を読み解く政治思想史。それぞれの特徴や目的は? 共同研究はできるのか? こうした「方法」をめぐる問いを、「リベラリズム」や「熟議民主主義」など多様なトピックに焦点を合わせて議論し、政治哲学研究の最前線を明らかにする。
- はじめに
- 第1回 ロールズ思想とは何だったのか─政治思想史と政治哲学の現在
- 第2回 リバタリアニズムの可能性
- 第3回 道徳理論としての利己主義
- 第4回 リベラリズムの歴史を考える
- 第5回 政治思想における過去の受容と継承
- 第6回 熟議民主主義を再び考える
- あとがき
ジャック・ハルバースタム『失敗のクィアアート―反乱するアニメーション』岩波書店
失敗や敗北のほうが、成功や勝利よりもはるかに創造的で驚異的だ! 『ファインディング・ニモ』『シュレック』といった傑作アニメから前衛アートまでを縦横に読み解き、資本主義と異性愛規範に支配された現代における「成功」の神話を解体する。バトラー以降のクイア理論を代表する批評家ハルバースタム、待望の初邦訳。
- 導 入 低俗理論
- 第一章 反乱のアニメ化と反乱するアニメーション
- 第二章 「この野郎、俺のファルスはどこだ?」――忘却、敗北、堂々巡り
- 第三章 失敗のクィアアート
- 第四章 シャドウ・フェミニズム――クィアな否定性とラディカルな受動性
- 第五章 「私のなかの殺人者は、あなたのなかの殺人者」――同性愛とファシズム
- 第六章 失敗を活性化する――エンディング、逃れること、生き延びること
- 謝 辞
- 原 注
- 訳 注
- 訳者解題
- 参考文献
- 索 引
戸谷洋志『恋愛の哲学』晶文社
狂うのが、愛。憎むのが、恋。
哲学は「恋愛」を語ることから始まった。
クズへの愛はなぜ成立するのか? なぜ私は愛されたいのか? 永遠の愛はどこまで続くのか?
――すべて哲学が答えます。
現代に流れる「ロマンティック・ラブ」の幻想を解体する驚愕の哲学入門!!!
紹介するのは、プラトン、デカルト、ヘーゲル、キルケゴール、
サルトル、ボーヴォワール、レヴィナスの七人。
彼らはそれぞれが違った仕方で人間と世界の関係を捉え、
その人間観の中で恋愛(哲学)を論じている。恋愛とは何かを
考えることは、そもそも人間とは何かを問い直すことを要求する。
本書ではそれらを全体として再構成することで<恋愛>を広い
視野の元で捉え直していく。
- はじめに
- 第1章:なぜ誰かを愛するのか?――プラトン
- 第2章:なぜ恋愛に執着するのか?――デカルト
- 第3章:なぜ恋人に愛されたいのか?――ヘーゲル
- 第4章:永遠の愛とは何か?――キルケゴール
- 第5章:なぜ恋愛は挫折するのか?――サルトル
- 第6章:女性にとって恋愛とは何か?――ボーヴォワール
- 第7章:なぜ恋人と分かり合えないのか?――レヴィナス
- おわりに
ピーター・サモン『ジャック・デリダ―その哲学と人生、出来事、ひょっとすると』Pヴァイン
オーネット・コールマンが共演し、スクリッティ・ポリッティが曲名で共感を表明し、坂本龍一がドキュメンタリー映画のサウンドトラックを制作したフランスの哲学者。サイモン・レイノルズやマーク・フィッシャーが音楽を論じる際に用いた概念「憑在論」の本家本元にして「脱構築」の発明者。ポップ・カルチャーにおいてもひときわ大きな存在感を放つ20世紀最高の知性のひとり、ジャック・デリダの生涯と思想を、21世紀の視点から新たに解説しなおす。
- イントロダクション
- 第1章 キッド
- 第2章 フッサール、ほか
- 第3章 起源の問題
- 第4章 ジャック・デリダ
- 第5章 出来事、ひょっとすると
- 第6章 『グラマトロジーについて』
- 第7章 真理が女だとすれば、どうだろうか
- 第8章 万人ここに来たれり
- 第9章 掟の前で
- 第10章 神について
- 第11章 出来事が起こった
- 謝辞
- 訳者あとがき
- 用語解説
- 索引
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