新刊紹介

新刊紹介_20231112

 
新刊紹介

ピーター・フレイズ『四つの未来―〈ポスト資本主義〉を展望するための四類型』以文社

概要

2010年代からはじまった「新世代」による世界的な知的・実践的ムーヴメントを牽引した『ジャコバン』誌の立ち上げメンバーであり編集委員のピーター・フレイズが放つ、「資本主義以後」の世界へ向けた四つの展望。

本書は『ジャコバン』誌とヴァーソ(Verso)社のコラボレーションによるもので、すでに7ヶ国語以上に翻訳されているが、実際にこれからの世界の「論点」をここまで手際よくまとめた本にはなかなかお目にかかれないはずである。

フレイズが描き出すのは四つの展望(ありうべき未来)、すなわち「コミュニズム」「レンティズム」「ソーシャリズム」「エクスターミニズム(絶滅主義)」である。この四つの未来は同時にあらわれうるし、いっぽうでいずれかの傾向を強くしていくこともあるだろう。(たとえば、日本でも近々サービスが開始されるという「ライドシェア(サービス)」は、ある種の「ソーシャリズム」的な側面を持ち合わせつつ「レンティズム」に傾くこともありうるし、また、現在イスラエル国家のやっていることは端的に「エクスターミニズム(絶滅主義)」である)。いずれにせよ、私たちが進む未来を決めるのは広い意味での「政治(的闘争)」であり、そこでは「階級(闘争)」という視点は欠かせない。

そして、この四つの未来に不可避にかかわっていくる「二つの妖怪」がいる。それは、従来の労働を不要にしていく「自動化」と、私たちの生活そのものの基盤を揺るがす「気候危機」である。この「二つの妖怪」と「四つの未来」の絡み合いによる──しかしこれはけっして未来予測ではない──フレイズの展望は、私たちの思考=行動に「未来への想像力」を添えてくれるはずである。

目次
  • 序章「黙示録とユートピアとしてのテクノロジーとエコロジー」
  • 第一章「コミュニズム──平等と豊かさ」
  • 第二章「レンティズム──ヒエラルキーと豊かさ」
  • 第三章「ソーシャリズ──平等と稀少性」
  • 第四章「エクスターミニズム──ヒエラルキーと稀少性」
  • 結論「いくつかの移行と展望」
  • 付録「死の党の台頭」
  • 訳者解説(酒井隆史)

デビッド・バッキンガム『メディア教育宣言―デジタル社会をどう生きるか』世界思想社

概要

メディア・リテラシーをアップデートせよ!
「スマホの悪影響から子供を守る」は正解じゃない。
ソーシャル・メディア、フェイクニュース、プラットフォーム資本主義の時代にこそ批判的思考が必要になる。
新時代の批判的思考と実践力を身につける!

本書の特徴
○著者は、国連、ユネスコ、ユニセフ、欧州委員会、英国政府のコンサルタントを務めるメディア教育の第一人者
○メディア教育の目的と原則を概説し、変化するメディア環境にどのように対応すべきか、具体的で実践的な教え方の戦略を提示
○メディアと教育にかかわるすべての人の必読書

目次
  • 日本語版刊行に際して
  • 1 変化するメディア環境
  • 2 利害を超えて
  • 3 メディア・リテラシーの限界
  • 4 より大きな構図
  • 5 批判的にいこう
  • 6 いかに教えるべきか――落とし穴と原則
  • 7 ソーシャル・メディアを概念化する
  • 8 メディア教育の実践
  • 9 実現できること
  • 結び
  • 原注
  • 訳注
  • 解説 水越伸

ダニエル・J・ソロブ, ウッドロウ・ハーツォグ『データセキュリティ法の迷走―情報漏洩はなぜなくならないのか?』勁草書房

概要

法は情報漏洩に対処できていない! データ侵害という事象だけではなく人間そのものに注目し、新たなデータセキュリティを創造する。

情報漏洩に対して法はより全体論的かつ戦略的になるべきである。そして、データエコシステムにおいて人間が果たす役割により注目すべきである。プライバシー法とデータセキュリティ法のどこが間違っていたのかを明快に示して、新たなアプローチを提示する、デジタル世界の安全とセキュリティに関心を持つすべての人にとって必読の書。

目次
  • 第1章 序 論――予告された侵害の記録
  • 第1部 データセキュリティの広範な理解
    第2章 データ侵害の蔓延
    第3章 データセキュリティ法の失敗
  • 第2部 総体的データセキュリティ法
    第4章 全体像――システムと構造
    第5章 データエコシステム全体の責任
    第6章 データ侵害による損害を軽減する
    第7章 プライバシーとデータセキュリティの統合
    第8章 人間という最大の弱点のためのセキュリティ設計
    第9章 結 論――総体的アプローチ
  • 謝 辞
  • 解 説
  • 原 注
  • 索 引

小西真理子『歪な愛の倫理―〈第三者〉は暴力関係にどう応じるべきか』筑摩書房

概要

あるべきかたちに回収されない愛の倫理とはなにか。暴力の渦中にあるの語りから、の応答可能性を考える刺激的な論考。

目次

coming soon…

篠原昌人『女給の社会史』芙蓉書房出版

著:篠原 昌人
概要

明治・大正・昭和の時代、繁華街のカフェーを盛り上げた「女給」はどのように生まれ、どう拡がり、そしてどうして消えていったのか
さまざまなエピソードで綴る都市風俗史

時代の「尖端」をいく女給たちのたくましい生きざまを生き生きと描いたノンフィクション

目次
  • 序 章 鬱陵島にて
  • 第1章 女ボーイ誕生/帝都名妓の給仕
  • 第2章 青春のミルクホール/学生街のアイドル
  • 第3章 女給の始まり/活動館の華
  • 第4章 女工の転身/カフェー女給
  • 第5章 女流作家の台頭/女給体験さまざま
  • 第6章 小さなデモクラシー/女給同盟
  • 第7章 職業女給の確立/カフェー全盛
  • 第8章 爛熟の陰翳/エロ・出銭 ・女給税
  • 第9章 花開くガールの群れ/花の尖端職業
  • 第10章 国際情報戦の陰で/スパイを支えた女給
  • 第11章 非常時突入/国策とともに
  • 第12章 カフェーから社交喫茶へ/変化のなかの女給
  • 第13章 女給からホステスへ、BGからOLヘ
  • 補 章 幻の女給
  • 終 章 パウリスタにて

仕事文脈編集部『仕事文脈 vol.23 特集「伝統常識一旦解体」「ほどよい数値化」』タバブックス

概要

特集1:伝統常識一旦解体
決まりだから、ずっとこうしてきたから
そのせいで前に進めない
社会はとっくに変わっているよ
「伝統」も都合よくつくられたものかもよ
窮屈な慣習や思考停止な常識
疑い、終わらせるため見つめ直すいろいろ

特集2:ほどよい数値化
成績、生産性、達成目標、フォロワー数、
コスパ、タイパ、売上、5段階評価
計測できるのは便利だけど
その基準だけでいいんだろうか
仕事につきものな数値化との
ほどよい付き合い方を考える

目次
  • 特集1:伝統常識一旦解体
    小田原のどか/「伝統」を解体する際に 
    とりうみ/ひとりで生きたい 
    笛美/結婚願望がゼロになるまで  
    保守的な空気を変えていく 各地で起こる抵抗の実践
    調査・職場の常識?「謎ルール」の世界
    座談会・営業マン2023
    堂々巡りの対話—「社会課題にのりきれない」背景にあるもの
    インタビュー・仕事/年齢/常識
    燈里/台湾のナイトクラブで婚姻平等を体験する
  • 特集2:ほどよい数値化
    生湯葉シホ/どんぐり10個分の散歩 
    久保勇貴/数字は無表情だけど 
    服部円/確かに数に追われているのかもしれない 
    調査 この数値が気になる
    編集部座談会「数値に囲まれている」
  • ◎連載
    仕事回文 杉野あずさ・みりんとおさとう
    男には簡単な仕事  ニイマリコ
    40歳、韓国でオンマになりました  木下美絵
    虹色眼鏡  チサ/さようならアーティスト
    「聞く」という仕事  辻本力
    無職の父と、田舎の未来について。 さのかずや
    文脈本屋さん 1003  ほか

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