新刊紹介

新刊紹介_20230818

 
新刊紹介

クロード・レヴィ=ストロース『構造人類学ゼロ』中央公論新社

著:クロード・レヴィ=ストロース, 著:佐久間寛, 翻訳:小川了, 翻訳:柳沢史明
概要

構造人類学誕生以前の関心や思考を伝える論文集。ニューヨークに滞在し、主に英語で発表された論考からあふれ出す新鮮な知の光景。「人間」という概念を揺さぶった思考の原点へ。

目次
  • 序文――編者による解説
  • 歴史と方法
  • 個人と社会
  • 互酬性とヒエラルキー
  • 芸 術
  • 南米の民族誌
  • 地図

國部克彦, 後藤玲子編『責任という倫理―不安の時代に問う』ミネルヴァ書房

概要

国際紛争、経済格差の拡大、そしてパンデミック。文明社会が容易に解答を見出せない問題に直面するなか、求められている倫理とはどのようなものなのだろうか。本書はこの問いに応答するための鍵概念として「責任」に着目する。リスク社会、政策決定、政治過程、隣人、公平、ジェンダー、企業といった領域に生じている問題を分析するなかで、「責任」という手垢のついた概念を再検討し、時代に対応した形に鍛えなおすことで、問題解決への糸口を探っていく。新たな時代の倫理を示す、総合的研究の成果。

目次
  • はしがき
  • 序 章 現代的な不安と責任という倫理(國部克彦)
  • 第1章 リスク社会における責任と倫理――混乱を克服するために(國部克彦)
  • 第2章 許容可能なリスクの責任ある決定――費用便益分析と契約主義(瀧川裕英)
  • 第3章 公共政策と責任――コロナ禍の政策過程(山本 清)
  • 第4章 隣人への責任――ケイパビリティと「外出自粛」(後藤玲子)
  • 第5章 責任の基盤としての自制――アダム・スミスと「公平な観察者」(金森絵里)
  • 第6章 ジェンダー正義への責任  ――ロールズ「財産所有のデモクラシー」の可能性(神島裕子)
  • 第7章 企業の社会的責任の展開――レスポンシビリティを組み込むために(國部克彦)
  • 終 章 責任という倫理が成立する条件(後藤玲子)
  • 索 引

上田勝久, 筒井亮太編『トラウマとの対話―精神分析的臨床家によるトラウマ理解』日本評論社

概要

戦争、災害、夢、ジェンダーなど「トラウマ」をめぐる今日的なテーマについて、精神分析に軸足をおく臨床家の粋を尽くした一冊。

目次
  • 序 文……藤山直樹
  • 第一部 精神分析とトラウマ
    第一章 フロイトの外傷概念の展開とその今日的意義に向けて……岡田暁宜
    第二章 フェレンツィとトラウマ……細澤 仁
    第三章 トラウマとビオン――非表象領域の探究……松木邦裕
    第四章 ウィニコットと外傷……関真粧美
  • 第二部 人間存在とトラウマ
    第五章 「私」たちのトラウマと罪悪感について――「母殺し」から「巻き込まれ型原光景」へ……北山 修・荻本 快
    第六章 夢見ることができない、について――トラウマをめぐる夢の試論……筒井亮太
    第七章 戦争とトラウマ……上田勝久
    第八章 芸術とトラウマ――三島由紀夫と虐待後遺症……祖父江典人
    第九章 災害とトラウマ……浜内彩乃
    第一〇章 ジェンダー論から見たトラウマ――ヒステリー、ホモソーシャル、女性のエクリチュール……日野 映

稲原美苗, 川崎唯史, 中澤瞳『フェミニスト現象学―経験が響きあう場所へ』ナカニシヤ出版

概要

見過ごされてきた経験を言葉にする沈黙を求める社会のなかで、異なる声の共鳴を待つために。

乳児の育児、更年期、トランスジェンダー、アセクシュアル、男らしさ、DV、老い、占い、ファッション、ペットロス……
さまざまな当事者の経験を記述・考察し、性をめぐる「当たり前」と「規範」を問い直すフェミニスト現象学。
現象学自体を共鳴の場としつつ、多様なテーマと理論、自己や他者の語りを扱った論考からその可能性を指し示す。
現象学のみならず社会学、倫理学、クィア批評など他分野の執筆者による方法論的な論考と、それに対する編者からの応答も収録。

目次
  • はじめに(中澤 瞳)
    第Ⅰ部 女らしさ、男らしさ
  • 第一章 「女の子みたいに投げる」をもう一度考える──「女らしさ」のフェミニスト現象学(中澤 瞳)
  • 第二章 「男らしさ」を「脱ぎ捨てる」のではなく──「男らしさ」のフェミニスト現象学(小手川正二郎)
  • コラム① 「女性の経験」と「フェミニスト現象学」(江原由美子)
    第Ⅱ部 身体、性、時間
  • 第三章 乳児の育児における「母親という役割」──その「大変さ」を考える(宮原 優)
  • 第四章 更年期の経験──心身の「揺らぎ」のフェミニスト現象学(稲原美苗)
  • コラム② 愛猫の喪失と取り残されるわたしの身体──ペットロスについて(河島思朗)
  • 第五章 パスの現象学──トランスジェンダーと「眼差し」の問題(藤高和輝)
  • 第六章 雰囲気としての強制的(異)性愛──アセクシュアルを理解可能にするための現象学(松浦 優)
  • 第七章 セクシュアリティの「ままならなさ」──ベルサーニとレヴィナスのクィアな性交渉論を通じて(古怒田望人/いりや)
    第Ⅲ部 他者、家、自己
  • 第八章 ステイホーム?──家にいる/いないことの意味(池田 喬)
  • 第九章 老いゆくこと、他者との関係──「ずれ」の経験と葛藤(中 真生)
  • 第一〇章 女性の経験とドメスティック・バイオレンス──その「みえにくさ」と妻/母役割(山本千晶)
  • コラム③ 装う経験から世界と私に出会い直す──装いとフェミニスト現象学(赤阪辰太郎)
  • 第一一章 占いを信じてはいけないのか?──「女性らしさ」に近づきたい気持ちと離れたい気持ちのあいだで(佐藤 愛)
  • 第一二章 なぜ「私」が傷つくのか──アイデンティティの交差性と差別(酒井麻依子)
  • 第一三章 「考慮に入れることはあてにすることである」──コミットメントのフェミニスト現象学(川崎唯史)
    第Ⅳ部 方  法
  • 第一四章 「経験から「普通」を問い直す」とはどういうことか?──「経験」のポリティクス(佐野泰之)
  • コラム④ 哲学における自伝的なもの──カヴェルとボーヴォワールからフェミニスト現象学の方法を考える(吉川 孝)
  • コラム⑤ 何が「経験の記述」を「女性の経験の記述」にするのか(小宮友根)
  • コラム⑥ 「(他者の) 一人称の記述」を読むこと──フェミニスト現象学とフェミニズム文学批評をつないで(岩川ありさ) 
  • 結びにかえて──書評および方法論的コラムへの応答(宮原 優) 
  • 謝  辞
  • 事項索引
  • 人名索引

反トランス差別ブックレット編集部(青本柚紀、高島鈴、水上文)『われらはすでに共にある―反トランス差別ブックレット』現代書館

著:反トランス差別ZINE編集部, 著:清水晶子, 著:三木那由他, 著:岩川ありさ, 著:高島鈴, 著:水上文, 著:山内尚, 著:児玉美月, 著:中村香住, 著:近藤銀河
概要

2022年11月に刊行された反トランス差別ZINE『われらはすでに共にある』の増補版。ZINEの内容はほとんどそのまま、新たにエッセイを3本、ブックガイドを4本追加。

日に日に苛烈さを増すトランスジェンダーに対する差別・排除言説。現実に即さないトランスジェンダー像が広められ、恐怖と不安が煽られる。本書は、そうした現状に抵抗を示すべく刊行された。複雑で多様な個々人の声、現状に対する抵抗言説を、読みやすい長さで多数収録。巻末には映画・ブックガイドを掲載。トランスヘイトの嵐に抗うために、まず手に取りたい1冊。

〈われらはすでに共にある。共にある未来のために、共に生き続けるために、あなたは決してひとりではないのだと言うために、本書は作られている。他ならないあなたに届くことを、私は祈っている。〉(水上文「はじめに」より)

目次
  • 【目次】 ☆=増補分
  • はじめに 水上文
    [エッセイ]
  • 三木那由他「くだらない話がしたい」
  • ただの沼「べつの言葉で」
  • 青本柚紀「クィアな自認の時間性——あなたにそれが届くまで」
  • 山中千瀬「言葉がほしい」
  • さとう渓「トランスジェンダーは難しくない」
  • 水上文「シスジェンダーとは何か」
  • かがみ「「キラキラしたトランスジェンダリズム」ってなんですか?」
  • 福永玄弥「わたし(たち)は忘れない」
  • 高島鈴「その声には応答しない」
  • 近藤銀河「シスターズへ」
  • 堀田季何「メモ・ノワール」
  • 榎本櫻湖「声について」
  • 山内尚「熊で鹿で兎でそして」
  • 呉樹直己「セックストイと自炊飯」
  • 清水晶子「背を向けて、彼方を見つめて、向き合って」
  • 岩川ありさ「雑踏の中でも見つけられる」
  • ☆釘宮もみじ「身体と知を売ることについて」
  • ☆吉野靫「ご機嫌いかがですか」
  • ☆周司あきら「共犯者」
  • 児玉美月「世界のトランスジェンダー映画5選」
    [共にあるためのブックガイド]
  • 水上文「私たちの問題——「トランスジェンダー問題」を捉え直す」(ショーン・フェイ著/高井ゆと里訳『トランスジェンダー問題』)
  • 中村香住「トランスジェンダーとフェミニズムの共闘点」(田中玲『トランスジェンダー・フェミニズム』)
  • 近藤銀河「ハンマーの共鳴音を探る」(橋迫瑞穂『妊娠・出産をめぐるスピリチュアリティ』、李琴峰『生を祝う』)
  • 青本柚紀「割り当てられた性を出てゆく経験としてのトランス」(エリス・ヤング著/上田勢子訳『ノンバイナリーがわかる本』)
  • ☆青本柚紀「Aセクシュアル・Aロマンティック・Aジェンダー——こうしてあなたたちは疎外の夜をつくる」(夜のそら「Aセク情報室」)
  • ☆高島鈴「“自然”を語る新しい言葉」(ジュリア・セラーノ 著/矢部文訳『ウィッピング・ガール』)
  • ☆水上文「奪い返し、問い返す——「性同一性」をめぐって」(針間克己『性別違和・性別不合へ』、五月あかり・周司あきら『埋没した世界』)
  • ☆周司あきら「トランスジェンダーの仲間と再会する」(虎井まさ衛編著『語り継ぐトランスジェンダー史』)

山口祐加, 星野概念『自分のために料理を作る―自炊からはじまる「ケア」の話』晶文社

著:山口祐加, 著:星野概念
概要

「自分のために作る料理」が、様々な悩みを解きほぐす。
その日々を追いかけた、実践・料理ドキュメンタリー。

【磯野真穂さん(文化人類学者)推薦!】
食べることは生きること。
なのに、自分のための料理は億劫。
それはなぜ?
料理を愛する著者が贈る、これまでにない料理本。

 * * *
著者のもとに寄せられた「自分のために料理が作れない」人々の声。「誰かのためにだったら料理をつくれるけど、自分のためとなると面倒で、適当になってしまう」。そんな「自分のために料理ができない」と感じている世帯も年齢もばらばらな6名の参加者を、著者が3ヵ月間「自炊コーチ」! その後、精神科医の星野概念さんと共に、気持ちの変化や発見などについてインタビューすることで、「何が起こっているのか」が明らかになる――。

「自分で料理して食べる」ことの実践法と、その「効用」を伝える、
自炊をしながら健やかに暮らしたい人を応援する一冊。

目次
  • まえがき 料理は大変だと思っているあなたに
  • Stage1 料理の問題たち
    1 料理についてこんがらがってしまっていること
    2 自分のために料理するのって難しい?
  • Stage2 実践!自分のために料理を作る
    01 土門さん第1回【30代・女性・執筆業】
    02 藤井さん第1回【30代・男性・会社員】
    03 横山さん(仮名)第1回【30代・女性・会社員】
    対話の時間を味わいたい――星野概念
    01 土門さん第2回【30代・女性・執筆業】
    02 藤井さん第2回【30代・男性・会社員】
    03 横山さん第2回【30代・女性・会社員】
    04 伊藤さん第2回【30代・女性・会社員】
    05 小山田さん第2回【20代・女性】
    06 川崎さん第2回【50代・女性・販売員】
  • Stage3 自分のために料理を作る7つのヒント
    1 六名の参加者に三ヵ月間レッスンをしてみて
    2 自分のために料理を作る七つのヒント
  • あとがき 絶対に自炊して欲しい、なんて言えない
  • おまけ 本書で紹介したレシピ

comment

タイトルとURLをコピーしました