新刊紹介

新刊紹介_20240630

 
新刊紹介

村上靖彦『すき間の哲学―世界から存在しないことにされた人たちを掬う』ミネルヴァ書房

概要

何人も取りこぼされないように制度化されたはずの我が国の公共の福祉。しかし制度と制度の「すき間」に陥り、この社会から存在しないことにされてしまったり、法権利に守られない人たちがいる。本書では、すき間に陥った当事者と支援者の証言の交点、そして社会的理論からその全体像を読み解く。そのうえですき間を生まないオルタナティブな社会の実現へ向けて何が必要なのかを議論する。

目次
  • 序 章 すき間に追いやられた人への眼差し
  • 第Ⅰ部 すき間を生む世界──排除の構造について
    第1章 国家水準の排除
    第2章 社会水準の排除
    第3章 家の水準の排除
    第4章 排除の可視化と不可視化、足元に拡がる逆境
  • 第Ⅱ部 すき間と出会う──かすかなSOSへのアンテナ
    第5章 すき間と出会うための論理
    第6章 すき間と出会うための歩行
    第7章 かすかなSOSへのアンテナとその地平
  • 第Ⅲ部 すき間からの声──当事者の声と空間
    第8章 当事者の声と空間の闘争
    第9章 居場所の多島海
  • 第Ⅳ部 すき間を生まない世界──社会的開放性について
    第10章 自分とは異なる人と出会う社会
    第11章 ユニバーサルなケア
    第12章 社会的開放性と傷つけやすさ
  • 終 章 一人ひとり、そして誰もが
  • 方法論について 現象学とすき間の哲学
  • あとがき
  • 人名・事項索引

友田とん『『百年の孤独』を代わりに読む』早川書房

概要

ガルシア=マルケス『百年の孤独』を読者の代わりに読む「私」。ところがすぐに脱線し始めて……話題を呼んだ自主制作本を文庫化

目次

coming soon…

エマヌエーレ・コッチャ『家の哲学―家空間と幸福』勁草書房

概要

都市にすべてを位置づけてきた哲学は、今こそ家を論じなければならない。わたしたちの幸福と惑星の未来は家のなかにある。

浴室、キャビネット、ベッド、廊下、台所──家を通してわたしは「他者」となり、また「他者」はわたしとなる。家は「雨風を防ぐもの」「所有された空間」ではなく、わたしのメタモルフォーゼが繰り返される、幸福の実験場である。「生」の変様を記述する哲学者コッチャによる、現代の家についての哲学的エッセー集。

【原著】Emanuele Coccia, Filosofia della casa: Lo spazio domestico e la felicita(Einaudi, 2021)

目次
  • 序論 都市の彼方の家
  • 1 引っ越し
  • 2 愛
  • 3 浴室とトイレ
  • 4 家のなかの物
  • 5 キャビネット
  • 6 双子
  • 7 白い粉
  • 8 ソーシャル・ネットワーク
  • 9 部屋と廊下
  • 10 ペット
  • 11 庭と森
  • 12 台所
  • 結論 新しい家、あるいは賢者の石
  • 謝辞
  • 本書の成り立ち
  • 参考文献
  • 訳者あとがき

菊地成孔, 大谷能生『たのしむ知識―菊地成孔と大谷能生の雑な教養』毎日新聞出版

概要

音楽家&批評家の最強コンビが10年ぶりに帰ってきた。                 
激動の〈ローリング・トゥウェンティーズ〉を生き延びろ!『憂鬱と官能を教えた学校』『東京大学のアルバート・アイラー』以来、音楽と文化を語らせて他の追随を許さない最強コンビによる最新作がついに登場。                                    坂本龍一の死、「夢グループ」化するミュージシャンたち、偉大なるジャッキー・チェン、コロナ禍の日々、現代批評家番付……「音楽」「映画」「社会/思想」「文芸」「サブカルチャー」各ジャンルを、縦横無尽に斬りまくる。過激でゆかいな〈シン・教養読本〉。

目次
  • まえがき
  • Ⅰ 話せばわかるか
  • Ⅱ 長電話
  • Ⅲ 闘争のエチカ
  • Ⅳ たかが映画じゃないか
  • Ⅴ 老イテマスマス耄碌
  • あとがき

吉原直樹, 飯笹佐代子, 山岡健次郎『モビリティーズの社会学』有斐閣

編集:吉原 直樹, 編集:飯笹 佐代子, 編集:山岡 健次郎
概要

いま最も注目される概念である「モビリティーズ」の理論的な論点を整理し,各地域のモバイルな諸相を具体的に論じる注目の書。移動する人びとや国境,境界,非西洋社会の側から現代社会の流動性をとらえ,グローバリゼーションを問い直す,知的ダイナミズム溢れる本。

目次
  • 序 章  いま,なぜ,モビリティーズか(吉原直樹・山岡健次郎)
  • 第Ⅰ部 モビリティーズの論点
    第1章 モビリティーズへの基本的視座(吉原直樹)
    第2章 モビリティーズとベック──メタモルフォシス理論とは何か(伊藤美登里)
    第3章 モビリティーズとネットワーク(伊藤嘉高)
    第4章 モダニティの両義性と複数性(山岡健次郎)
  • 第Ⅱ部 グローバリゼーションからモビリティーズへ
    第5章 ケア労働,モビリティーズ,ジェンダー──フィリピン人労働者の経験から(小ヶ谷千穂)
    第6章 国民国家の変容と再編──アフリカからの視点(武内進一)
    第7章 ディアスポラとデジタル・ナショナリズム──イボ人ディアスポラによるビアフラ分離主義運動を通して(松本尚之)
    第8章 難民キャンプのモビリティーズ──アフリカにおける境界的空間(村橋勲)
    第9章 難民を翻弄するオーストラリアの境界政治──収容の海外移転・新植民地主義・新自由主義(飯笹佐代子)

パトリシア・ヒル・コリンズ『インターセクショナリティの批判的社会理論』勁草書房

概要

「インターセクショナリティ」を研ぎ澄ます。交差性論の第一人者の主著にして、批判的社会理論としての可能性を問う重要文献、初訳。

現代の社会的不平等を分析するうえで、人種、階級、ジェンダーなどへの交差的視座は欠かせない。だが批判的社会理論としてのインターセクショナリティはいまだ形成途上にある。フランクフルト学派からブラックフェミニズム思想まで様々な理論的伝統との対話を通して、その内容・認知構造、中核となる概念や指針を明らかにする必読書。
[解説=河庚希(ノースカロライナ州立大学助教)]
【原著】Patricia Hill Collins, Intersectionality as Critical Social Theory(Duke University Press, 2019)

目次
  • 日本語版への序文
  • 謝辞
  • 序章
  • 第Ⅰ部 問題の枠組みをつくる――インターセクショナリティと批判的社会理論
    第1章 批判的探究としてのインターセクショナリティ
    第2章 批判的社会理論の何が批判的か
  • 第Ⅱ部 権力はいかに重要か――インターセクショナリティと知的抵抗
    第3章 インターセクショナリティと抵抗知のプロジェクト
    第4章 インターセクショナリティと認識的抵抗
  • 第Ⅲ部 インターセクショナリティを理論化する――知る方法としての社会的行為
    第5章 インターセクショナリティ、経験、コミュニティ
    第6章 インターセクショナリティと自由をめぐる問い
  • 第Ⅳ部 インターセクショナリティの批判の鋭さを研ぎ澄ます
    第7章 インターセクショナリティの中の関係性
    第8章 社会正義のないインターセクショナリティ?
  • エピローグ
  • 解説[河 庚希]
  • 訳者謝辞
  • 付録
  • 原注
  • 参考文献
  • 索引

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