新刊紹介

新刊紹介_20241221

 
新刊紹介

星野太『崇高と資本主義―ジャン=フランソワ・リオタール論』青土社

概要

「崇高」から何を思考しつづけたのか。リオタールの戦略とは何か――
「ポストモダンの思想家」とされるリオタール。しかし、美学から一貫して資本主義への抵抗を思索しつづけた哲学者であることはあまり知られていない。複雑に交錯したその思想を丁寧に解きほぐしながら、特異な哲学者の本質を明らかにする。気鋭によるリオタール論の誕生。

目次

coming soon…

ソフィ・カル『不在―ソフィ・カル』青幻舎

概要

フランスの現代アーティスト、ソフィ・カル
「不在」を見つめた日本初の作品集

画家オディロン・ルドンの壁画『グラン・ブーケ』(三菱一号館美術館所蔵)に着想を得てソフィ・カルが製作した《グラン・ブーケ》(2020年)をはじめ、テキストと写真の作品群『なぜなら』、盗難された絵画の額縁を見つめる人々が語る『あなたには何が見えますか』、ピカソ作品の不在を示す『監禁されたピカソ』、映像作品《海を見る》など、ソフィ・カルの名作と代表作を収録した日本初の作品集。作品の一部ともいえるフランス語テキストを日本語に翻訳し、巻末に収録。作家の世界観を美しい装丁でも表現した、世界的現代アーティスト、ソフィ・カルへの理解が深まる一冊。2024年11月23日(土)〜2025年1月26日(日)三菱一号館美術館で開催の『「不在」 トゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル』展公式図録兼書籍として刊行。

目次

coming soon…

大嶋栄子『傷はそこにある―交差する逆境・横断するケア』日本評論社

概要

さまざまな逆境を生き延び、アディクションなどの生きづらさを抱える女性たちが安全でいられる場所をつくる――そのためにはジェンダー格差をはじめとする抑圧の連鎖を見据え、ケアとはなにかを問いなおさねばならない。複数の領域を横断し、ソーシャルワークの枠組みすら越境する実践の軌跡と現在地。

目次
  • [Ⅰ 交差する逆境:愛着・トラウマ・アディクション]
    第1章 安全基地をつくる
    第2章 逆境を生きる
    第3章 傷はそこにある:意味づけられない経験と声
    第4章 通過型支援が行き詰まる
    第5章 ハームリダクションという実践:環境に介入する
    第6章 愛着形成をどう支えるのか
  • [Ⅱ 横断するケア:ジェンダーと居場所のポリティクス]
    第7章 居場所をめぐる問い:ジェンダーについて知るところから
    第8章 愛を期待はしない:ケアとジェンダーの視点から
    第9章 ねじれる援助希求:ケアの両義性
    第10章 抑圧の連鎖に立ち向かう:反抑圧的ソーシャルワーク
    第11章 “食べる”というケア
  • [counterpoint]〈越境〉と〈横断〉のソーシャルワーク:交差する困難・横断する援助
  • [Ⅲ 塀の中と外はつながるのか:女子刑務所プロジェクト]
    第12章 再犯の意味を問い続ける
    第13章 「女子依存症回復支援モデル」のスタート
    第14章 私について、私が知る
    第15章 自分を受け入れ、現実と向き合う
    第16章 変えられるものと変えられないもの
    第17章 塀の外で:センター修了生と共に“転がる”
  • [対談]ケアの倫理と公共圏の問い………大嶋栄子・熊谷晋一郎

コイズミアヤ『しくみの内側のしくみ―思考する手仕事のレシピ』コトニ社

概要

★岡﨑乾二郎氏(造形作家・批評家)推薦★
《コイズミアヤはその精緻、精密な造形操作で、ゲーデルの不完全性を突破し、体系内にその体系を超える高次元を出現させてしまう。》

立体作品の制作発表を続けてきた、コイズミアヤ初の著書。
料理本のような体裁で、作品の具体的なつくりかたに加えて、制作の経緯についてを贅沢におさめた一冊。

《バナッハ=タルスキーのパラドックスというものがある。これは、たとえば小さな卵をかぎりなくコナゴナ(可算無限回の分割そして任意の細かさまでの分割)にすれば、そのコナゴナな断片から巨大な地球を作り出すことが数学的には可能だという理論、パラドックスである。もし際限がないほど超精密な技術のアヤがあれば、それは可能になるというのか。
 コイズミアヤはこのパラドックスを造形の問題として実践的に解き放そうとしている。不可能に感じるのはわれわれのドクサにすぎない。コツはスミのコさ、つまり隅あるいは角(スミ)の濃度にある。たぶん、ここに別次元のイズミがわきだす秘密がある。ようするにコイズミアヤはその精密、精緻な造形力のアヤでゲーデルに迫る認識をもたらそうとしている。》(岡﨑乾二郎)

目次
  • まえがき
  • 第1章 うつしかえ
    あやとりのドローイング
    うつしかえの図面
    Loopかめのこ
    通路と信仰
  • 第2章 紐の木彫
    紐のドローイング
    紐の彫刻
    結び目のはなし
    結び目のドローイング
    輪の彫刻――結び目
  • 第3章 重なる箱
    重なる箱0
    私の箱の経緯
    重なる箱11
    子どもとの遊び、monad
  • 第4章 物語の量と在処
    カフカのこま
    私信-イリスをさがしています――「アヤメ」について
    ある返礼――『ギフト』
    無常の車
    言葉のかご――「チャンドス卿の手紙」
    こまと塵屑(ちりくず)
  • 終章 雪について
  • あとがき

ビル・ブルースター, フランク・ブロートン『そして、みんなクレイジーになっていく 増補改訂版―DJカルチャーとクラブ・ミュージックの100年史―Last Night A DJ Saved My Life』DU BOOKS

概要

DJがダンスフロアにかける夜の魔法──
ラリー・レヴァン、フランキー・ナックルス、マンキューソ、クール・ハーク、DJシャドウ etc、etc
膨大な証言と資料からその歴史を詳らかにした名著に新章を追加、全面加筆した決定版!

「カルチャーは夜生まれる。DJを巡る物語」──野村訓市(Tripster Inc.)

長く入手困難で、中古本はプレミア価格がつくクラブ・ミュージックの歴史を描いた名著が、

直近20年間のシーンを6章分増補、新訳を施して復刊。

●レコードをMIXするテクニックの発明、ノーザン・ソウルとハイエナジーの関係、ハウスシーンの誕生、ヒップホップの成り立ち、大箱・小箱のクラブの移り変わり、などの歴史と流れを時系列で網羅!

●アンダーグラウンドかつ口コミが有力で、言語化/書物化されづらかった当時のクラブ/ダンス・ミュージックシーンを明瞭に再現!

目次(抜粋)

始まり、ラジオ/始まり、クラブ/ノーザンソウル/レゲエ/ディスコ/ハイエナジー/
ヒップホップ/USガラージ/ハウス/テクノ/バレアリック/ジャズ・ファンク/
アシッド・ハウス/UKベース/アーティスト/アウトロー/女性DJ
付録:本書に登場するクラブやイベントの保存版級プレイリスト、用語注釈

仕事文脈編集部『若者の戦争と政治―20代50人に聞く実感、教育、アクション』タバブックス

概要

むしろ「学ばなかったこと」のほうが印象深いかも(26歳)
「先生だから政治的意見は言えない」と、”中立”であることにこだわっていたのが印象的(23歳)

「社会や政治に無関心な若者」は、こうして生まれたー
1994〜2004年生まれ、20代50人に聞いた、戦争と政治。

「慰安婦」の文字が教科書から消され、戦争における加害の歴史を学ばなかった。
性教育がバッシングされ、激しいジェンダーバックラッシュが起こった。
生きづらさを自己責任で丸め込まれ、「ゆとり」や「さとり」と後ろ指をさされる。
第2次安倍政権下で義務教育期を過ごしたかれらは、当時の政治や教育にどう影響され、何を感じてきたのか。生まれ育った1994-2024年の政治、教育、文化、社会の動きを年表で振り返るとともに、若者たちの声を聞く1冊。

戦争を起こさないようにするのは誰か。問われなければいけないのは政治だ。(寄稿 武田砂鉄)

目次
  • 戦争や政治と聞いた時、どんなものを思い浮かべますか?小学校〜高校までに学んだ戦争、政治について、印象に残っていること、記憶していることを教えてください。
  • 【戦争】
    日露戦争とか、日清戦争などの単語と年号。受験頻出のことばかり覚えている。なんで起こったのかとかは覚えていない(23歳)
    土地や資源を奪い合って人が死ぬ行為、ぐらいの想像力しか持てない(24歳、男)
    「慰安婦」という言葉は教科書にも書かれていなかったし、聞いたこともなかった(26歳)
    日本が受けた被害については印象に残っているのに、日本が他の国や地域に対して行ってきたことについてはさらりと済まされていたような気がします(28歳)
  • 【政治】
    腐敗だらけでゴミだけど、世の中も同じくらいダメなところがあるから、変えようがないもの。「お上」。中高年男性。居眠り(22歳)
    政治についていくにはエネルギーが必要で、日々の生活に精いっぱいのときには簡単ではない(22歳)
    選挙権を得た年に、有権者として初めて公約をチェックした際、自分の住んでいる地域では若者にとって魅力的な候補者がほとんどいないことに驚きました(26歳)
    政治についてもっと声を上げていい、批判して、何なら怒ってもいい、私たちにはその権利があるということをもう少し早く知っておきたかった(29歳)

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