ブルース・N.ウォーラー『道徳的責任廃絶論―責めても何もよくならない』平凡社
科学的世界像を真剣に受け止める「自然主義」の立場から「道徳的責任」の不可能性とその廃絶を訴える。同時に「自由意志」の両立論を支持するユニークな立場を打ち出した必読の書、遂に刊行!
- まえがき
- 第一章 道徳的責任
- 第二章 道徳的責任反対論の根本論証
- 第三章 自由意志を道徳的責任から救出する
- 第四章 階層的自由意志と自然的本人性
- 第五章 すき間〔ギャップ〕の中に道徳的責任を求める
- 第六章 責任を引き受ける
- 第七章 自ら作り上げた自己に対する責任
- 第八章 道徳的責任の利益は幻想である
- 第九章 性格の瑕疵〔かし〕と非難の瑕疵
- 第一〇章 道徳的責任の否定からは何が帰結しないか──道徳的責任なしで道徳的に生きる
- 第一一章 道徳的責任のシステム
- 第一二章 論点先取による道徳的責任擁護論
- 第一三章 道徳的責任は敬意を促進するか?
- 第一四章 究極の責任なき創造的作者性〔オーサーシップ〕
- 第一五章 道徳的責任なき世界
- 第一六章 道徳的責任の根絶は可能か?
- 訳者あとがき(木島泰三)
- 文献
- 索引
WORKSIGHT編集部『WORKSIGHT 26号―こどもたち』学芸出版社
江戸末期の異邦人はなぜ日本を「こどもの天国」と呼んだのか?民俗学が捉えてきたこども像とは?プロによるこどもへの「聞き書き」から、こどもを魅了し続ける「怖い話」の話、なぜかこどもが好きなモノに迫るブックリスト、『育児の百科』と保育運動の思想まで。大人にとって最も身近な他者、「こども」に出会い直す一冊。
- ◉ こどもたち
Close Encounters with Kids - ◉こどもの楽園
江戸から明治へ、写真と異邦人の記録 - ◉巻頭言 異界の住人を迎える
文=山下正太郎(本誌編集長) - ◉小さき者がことばをつくる
民俗学者・島村恭則に聞く
柳田国男がこどもを記す理由 - ◉2025年の『子供!』
インタビュー 津野海太郎
聞き書き 永井玲衣/なむ/海猫沢めろん - ◉「本のこども」へようこそ
こどもが絵本をつくって売る魔法の出版社 - ◉キッズたちのコミック新世紀
『BONE』と「Scholastic」が変えたアメコミの未来 - ◉こどもが大好きな怖い話
- ◉おさなきひしゃたい
日本写真はこどもをどう写したか - ◉こどもがなぜか好きなもの
小さき者を魅了する秘密に迫るブックリスト - ◉「保育」がコミュニティ運動になるとき
松田道雄が子育てに見た「社会を編み直す力」
福永玄弥『性/生をめぐる闘争―台湾と韓国における性的マイノリティの運動と政治』明石書店
熾烈なバックラッシュの背景に何があるのか。台韓における性的マイノリティの運動史を辿り、その達成をフェミニズムとの交差とともに歴史化。冷戦という観点から両国の比較を超えた視野を提示する、クィア・スタディーズの到達点。
- プロローグ
- 序論
- 第一部 〈包摂〉をめぐる闘争
第1章 台湾Ⅰ――「ゲイフレンドリーな軍隊」の誕生
第2章 韓国Ⅰ――「従軍する権利」を求めて - 第二部 〈解放〉をめぐる闘争
第3章 台湾Ⅱ――「革命いまだ成らず、同志たちよ努力せよ!」
第4章 韓国Ⅱ――「いつか訪れる解放」のために - 第三部 〈権利〉をめぐる闘争
第5章 台湾Ⅲ――「毀家・廃婚」から「婚姻平等」へ
第6章 韓国Ⅲ――憎悪の動員と差別禁止法の挫折 - 終論
あとがき/謝辞/初出一覧/参考文献/図表一覧/索引
ジェイン・ジェイコブズ『経済の本質―自然から学ぶ』筑摩書房
生態学(エコロジー)と経済学(エコノミクス)は、同じ問題を扱う「双子」だ! 経済の成長は自然と反目するものでなく、二つは共通の法則に従う。それを自覚することで、人間は自然と調和しつつ経済を営むことができるのだ──。市民生活から乖離していく都市計画や市場経済へ、批判の対象をひろげてきたジェイコブズ。人間のモラルを二体系にわけ相対する立場をどう調整できるか探った前著『市場の倫理 統治の倫理』から、本書は更に発展して、生物学的な視点を取り入れる。進化論や複雑系理論などの知見を引きつつ、共発展・協力・共生・相互依存など、経済と生態系に共通するメカニズムを探り出す。 解説 平尾昌宏
- まえがき
- 第1章 なんと、またエコロジストだって
- 第2章 発展の本質
- 第3章 拡大の本質
- 第4章 活力自己再補給の本質
- 第5章 崩壊を避ける
- 第6章 適者生存の二重の法則
- 第7章 予測不可能性
- 第8章 アームブラスターの約束
- エピローグ
- 文庫版解説 そろそろ本気でジェイコブズを 平尾昌宏
ジョン・ローマー『機会の平等―境遇による格差から自由な社会に向けて』勁草書房
裕福な家庭の子供の「努力」と、貧困家庭の子供の「努力」は同じではない。生まれや育ちが人生を決めないための経済学とは。
タバコを吸って病気になる。授業をさぼって進学できなくなる。これらは個人の責任だ。だが同時に、どうしようもできない境遇がそれぞれに深く影を落としている。では、彼らにどのように資源を分配すべきか。努力の概念を精査し、数理経済学の手法を駆使して、チャンスを得る機会を真に均等にするアルゴリズムを打ち出す。
【原著】John E. Roemer, Equality of Opportunity(Harvard University Press, 1998)
- 序文
- 第1章 イントロダクション
- 第2章 境遇,タイプ,自律的選択
- 第3章 提案の正当化
- 第4章 機会の平等の形式的な定義
- 第5章 「機会の平等」制度の誘因的性質
- 第6章 生産を伴う機会の平等
- 第7章 厚生に関する機会の平等
- 第8章 健康に関する機会の平等
- 第9章 教育と有利性
- 第10章 機会の平等と失業保険
- 第11章 アメリカにおける教育財政の機会平等分配
- 第12章 機会平等化の適用範囲と程度
- 第13章 どの程度まで機会を平等化すべきか
- 第14章 アファーマティブ・アクション
- 第15章 結論的覚書
- 参照文献
- 補論 機会の平等を擁護する
- 訳者解説1[吉原直毅]
- 訳者解説2[後藤玲子]
- 索引
栗田隆子『「働けない」をとことん考えてみた。』平凡社
働かない、働けない、働きたくない……。
「普通の働き方」ってなんだろう?
ロスジェネ世代、非正規雇用、職場のハラスメント、
うつと休職、生活保護、障害年金──
『ぼそぼそ声のフェミニズム』著者がつづる
〈働けない〉側から考える、あたらしい労働論。
「ウェブ平凡」で話題を呼んだ好評連載に、書き下ろしを加え書籍化!
- はじめに
- 一章 働かない、働けない、働きたくない
……時代が私に追いついてきてしまったのか?
「正規雇用」の「正」ってナニ? ──正規雇用と非正規雇用の分断の正体
働けない人間の身に起きたこと──年金制度に潜む差別
独身女性のイメージの変遷を追ってみる──ゼロ年代から二〇年代まで
インボイス制度──国家や企業の本音が透け透け
「女性活躍」とは何なのか? ──「女性の人権」とは似て非なるもの
世界は無償労働で回っている──有償労働と無償労働の違いって? - 二章 「普通になりたい」という願望
“怠ける”というタブー ──うつ病の人が闘う相手とは
「お天気屋さん」として生きている
いつまでも楽にならない労働の話
頑張りゃいいってものじゃない
「おおきなかぶ」と「新時代の『日本的経営』」 - 三章 不安定な私の労働と、働かなくてもよい人たち
「怠け者」列伝
働いているけど、働いてない
不労所得──あるいは「稼ぎ」が目的ではない仕事
ポイ活──消費の導火線、あるいは労働の残滓 - おわりに
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