新刊紹介

新刊紹介_20250309

 
新刊紹介

村上宏昭編著『生体管理の近代史―個人識別技術と身体の情報化』明石書店

概要

バイオメトリクス、生体認証の技術なくしては、今日の社会活動は成り立たないというところまできている。こうした技術が立脚している、近代特有のいわば「可読的身体」に目を向け、その歴史的な系譜と諸相とを、西洋や植民地の事例を手がかりに考察する。

目次
  • 序章 「読まれる身体」の近代[村上宏昭]
  • 第Ⅰ部 規格化する視線、数値化される身体
    第1章 可読的身体の系譜学――旅券・客観性・人体測定[村上宏昭]
    第2章 近代イギリスにおける医療技術と健康管理――一九一八~一九年インフルエンザと体温計測[高林陽展]
    第3章 X線の医学的な使用と防護意識の形成――ドイツの事例を中心に[北村陽子]
  • 第Ⅱ部 「反社会的身体」への不安
    第4章 可視的身体と可読的身体のあいだで――アルフォンス・ベルティヨンの功績[梅澤礼]
    第5章 遺伝学者ハンス・ナハツハイムと「遺伝衛生」――一九五〇~六〇年代ドイツにおける優生学の一例として[紀愛子]
    第6章 生体認証技術と人種主義――現代ドイツにおける移民・外国人管理の事例[昔農英明]
  • 第Ⅲ部 植民地世界の生体管理
    第7章 植民地インドにおける「犯罪的集団」の身体の可読化[宮本隆史]
    第8章 南アフリカにおける指紋法の導入と展開――英領ケープ植民地の医師、警察と身体を中心に[堀内隆行]
    第9章 「熱帯医学」としてのハンセン病研究――帝政期ドイツの議論から[磯部裕幸]
  • 終章 身体の情報化に抗して[村上宏昭]
  • あとがき/人名索引/事項索引/編著者・執筆者紹介

西森路代『あらがうドラマ 「わたし」とつながる物語』303 BOOKS

概要

●ままならない日常に抗い、ともに生きていくために。今見るべきドラマがここにある! 

●日本のみならず、香港や台湾、韓国のドラマや映画などといったエンターテイメントについて様々な媒体で執筆する西森路代が、日々目まぐるしく変化する価値観や社会のあり方を敏感に捉えた日本のテレビドラマの中から23作品を厳選し、様々な切り口から書き尽くした一冊。本書が生まれるきっかけにもなった、2024年話題沸騰の連続テレビ小説『虎に翼』の脚本家、吉田恵里香さんとの特別対談も収録!

●今の現状を打破しようと「抗っている」ドラマばかりになっていた。
「日本のドラマはつまらない」と言う話をよく聞く。特に私は韓国について書く仕事も多いため、「韓国ではあんなに社会を映しているのに……」と比較して言われることもある。日本のドラマには、政治を描いたものは少ないかもしれないが、社会やフェミニズムを描いたものはたくさんある。日本で見るべきドラマを探していた人にうまくその魅力を伝えられずにいたが、『虎に翼』で関心を持った人に、ほかにもこんなドラマがあるということを知ってもらいたいと思ったことや、日本のドラマに関心がある人と、その良さをもっと共有したいと思ったことが、この本を書いたきっかけだ。書き終わってみると、取り上げたドラマたちは、今の現状を打破しようと「抗っている」ドラマばかりになっていた。(本書「まえがき」より)

●公式サイトでは本書で扱うテーマとドラマを一挙ご紹介! 視聴できる動画配信サービスへのリンク付き!

■組織と労働
『逃げるは恥だが役に立つ』『獣になれない私たち』『わたし、定時で帰ります。』『エルピス ―希望、あるいは災い―』

■恋愛の現在地
『妖怪シェアハウス』『恋せぬふたり』『伊藤くんAtoE』『こっち向いてよ向井くん』

■生殖
『大奥 Season1』『燕は戻ってこない』『透明なゆりかご』

■性加害
『問題のあるレストラン』『SHUT UP』『フェンス』『ファーストラヴ』

■たたみゆく暮らし
『団地のふたり』『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』『一橋桐子の犯罪日記』

■出会いと分岐点
『MIU404』『本気のしるし』『宇宙を駆けるよだか』『宙わたる教室』

■虎に翼
『虎に翼』

藤原麻里菜『メルカリで知らん子の絵を買う』文藝春秋

概要

「私は人よりもたくさん余計なことをして生きていこうと思う」
ユニークな無駄発明で人気の著者による脱力系エッセイ集。
じっと天井を見つめ続けてみたり、幼児にまじって砂場で遊んでみたり、まだ名前のついていない行動を探してからだを動かしてみたり、着色料を溶いた水を飲んでみたり……。
じわじわとこみ上げる笑いとともに読み進めると、「余計なこと」を求める著者の心のやわらかい部分が見えてくる。

後藤哲也『韓国グラフィックデザイナーの仕事と環境―K-GRAPHIC IN-DEPTH』グラフィック社

概要

K-POP、独立系出版、フェミニズムなど韓国の社会や文化を動かすグラフィックデザインの現在形を紹介。
その実践の背景にある考え方や状況に迫る。『K-GRAPHIC INDEX』の姉妹編。

目次
  • 第1章 Art of Pop Culture / 現代韓国を彩るポップカルチャーの表と裏
    SPARKS EDITION/GAGARIN/PADOSTUFF/Gu/Helicopter Records/Bowyer/Bae Minkee/なぜハングルを使うのか?:
    K-POPにおける多層的で独特なデザインの可能性/K-POPデザインの表と裏:
    PRESS ROOM + MHTL + SUUUB SERVICE鼎談
  • 第2章 ポスト・トゥルース時代の本とデザイナー
    SUPERSALADSTUFF/donshinsa/withtext/Aprilsnow/front-door/workroomとworkroom press:
    美術から始まりファッションにいたるまで/YOUR-MINDとUnlimited Edition:
    ソウルにおける独立系出版とブックフェアの展開/propaganda pressとGunsan Book Fair:
    クンサンにおける地方出版とブックフェアの挑戦/クィアコミュニティと出版:
    潟見 陽(loneliness books)に聞く韓国のデザイナーたちとの連帯
  • 第3章 デザイナーを取り巻く課題と未来をつくる活動
    Scenery of Today/Good Question/studio161 design unit/Stuckyi studio/Park Eerang/Park Yeounjoo / Hezuk Press/Min Guhong Manufacturing/この混乱を直視せよ:
    フェミニストデザイナーソーシャルクラブを通じて再び出会った世界/差別のないデザイン:
    イ・ジェヨン(6699press)インタビュー/いま、グラフィックデザインを学ぶということ:
    ソウル市立大学校と桂園芸術大学校の事例/TWという学生サークル、そしてその後:
    2008年から現在までのメンバーの活動について

信田さよ子『なぜ人は自分を責めてしまうのか』筑摩書房

概要

自責感とうまくつきあう。
当事者の言葉を辞書として、私たちを苦しめるものの正体に迫る。公開講座をもとにした、もっともやさしい信田さよ子の本。

目次
  • まえがき
  • 第1章 母はまだ重い
  • 第2章 共依存を読みとく
  • 第3章 母への罪悪感と自責感
  • 第4章 逆算の育児
  • 第5章 なぜ人は自分を責めてしまうのか
  • あとがき/索引

鶴田想人, 塚原東吾編著『無知学への招待―〈知らないこと〉を問い直す』明石書店

概要

私たちは何を知らないのか。なぜ知らないのか。私たちの〈知らないこと〉はいかに作られ、社会に何をもたらしているのか。近年盛り上がりつつある無知学(アグノトロジー)の本邦初の入門的ハンドブック。

目次
  • はじめに――「無知の時代」を生き抜くために[鶴田想人]
  • 第Ⅰ部 概論
    1 無知学とは何か――その背景と課題[鶴田想人]
    2 無知学の過去・現在・未来[ロバート・N・プロクター(鶴田想人・塚原東吾訳)]
    3 科学史・STSにおける無知[塚原東吾]
  • 第Ⅱ部 キーワード
    1 特定された無知[村瀬泰菜]
    2 意図的な無知/非意図的な無知[鶴田想人]
    3 有徳な無知[岡本隣]
    4 戦略的無知と非知社会学[井口暁]
    5 白人の無知と無知の認識論[大橋一平]
    6 認識的不正義[飯塚理恵]
  • 第Ⅲ部 日本の「無知学」
    1 科学の国際性と研究の無害化――1950年代の放射線影響に関する知/無知の形成[飯田香穂里]
    2 動機としての無知――公害の場合[友澤悠季]
    3 「田んぼ」の真ん中に建てられた基地――沖縄における無知の政治[西山秀史(前田暉一朗・岡井ひかる訳)]
    4 「日本人」特権に起因する無知――日本人性に関する社会科学と無知の認識論の学際研究[佐藤邦政]
  • 第Ⅳ部 「無知」の諸相
    1 無知の権利[村上陽一郎]
    2 古代ギリシア哲学の「不知/無知」[納富信留]
    3 福島原発事故と放射線健康被害の不可視化の構造[柿原泰]
    4 ホロコーストと同性愛者[弓削尚子]
    5 カントの「黒」――合理的作為としての無知が顕わにする〈知〉としての「人種」[小笠原博毅]
    6 民主主義と無知[大竹弘二]
    7 COVID-19パンデミックと無知[美馬達哉]
    8 AIの作り出す無知[直江清隆]
    9 ジャン=ピエール・デュピュイの破局と無知[渡名喜庸哲]
    10 経済学における「自然」の不可視化[桑田学]
    11 ポストトゥルースと「科学否定論」[松村一志]
    12 人間の条件としての無知――ミラン・クンデラと考える[須藤輝彦]
    13 人新世の結果から要因、対策へ――環境問題における無知の構造[野坂しおり]
    14 フランスにおける無知研究の展開[井上雅俊]
  • おわりに[塚原東吾]
  • 索引