牧野雅彦『権力について―ハンナ・アレントと「政治の文法」』中央公論新社
暴力の支配するところに、本当の意味の権力は存在しない――アレントがそう定義するのはなぜか。そして、アレントの言う「権力」を理解することによって、私たちは何を得ることができるのか。
世界の行く末が見通せない現在、ますます重みを増すアレントの思想を解読する。
- 第1章 政治の文法
- 第2章 評議会とはどのような組織か
- 第3章 「連合」の原理と国際関係
- 第4章 抵抗のための条件――黒人問題と暴力
- 第5章 抵抗のための「権力」――ユダヤ人の「最終解決」をめぐって
- 第6章 革命の条件
- 第7章 「権威」の再建
- 第8章 「社会」という領域と政治
- 第9章 歴史――起こったことに向き合う
- 第10章 真理の擁護――政治の境界を設定する
- 補論 アレントと西洋政治思想
マイケル・トマセロ『行為主体性の進化―生物はいかに「意思」を獲得したのか』白揚社
認知心理学の巨人トマセロが提唱する、画期的な新理論!
何をするべきかを自分で意思決定し、能動的に行動する能力、それが「行為主体性」だ。
生物はどのようにして、ただ刺激に反応して動くだけの存在から、人間のような複雑な行動ができるまでに進化したのか? 太古の爬虫類、哺乳類、大型類人猿、初期人類の四つの行為主体を取り上げ、意思決定の心理構造がどのように複雑化していったのかを読み解いていく。
進化心理学、進化生物学、行動生態学、認知科学など、これまで別々に取り上げられることの多かった人間と動物の研究をまとめ上げ、包括的な行為主体のモデルを提唱し、その進化の道筋を解明する画期的な新理論。
- 第1章 はじめに
- 第2章 行為主体のフィードバック制御モデル
- 第3章 目標指向的行為主体――太古の脊椎動物
- 第4章 意図的行為主体――太古の哺乳類
- 第5章 合理的行為主体――太古の類人猿
- 第6章 社会規範的行為主体――太古の人類
- 第7章 行動組織としての行為主体
ポール・B・プレシアド『テスト・ジャンキー―薬物ポルノ時代のセックス、ドラッグ、生政治』法政大学出版局
現代資本主義世界を統治する薬物ポルノ体制とは何か? トランス男性にしてフーコーやバトラー、ハラウェイ、ドゥルーズ=ガタリやデリダらの遺産を引き継ぐ著者が、テストステロンによる性別移行の実践と、補綴技術を介した性愛の限りない変容、そして〈悦びの力〉を肯定する衝撃のテクスト。差別を受けてきた性的実存の尊厳を根底から擁護する、新たなカウンター薬物ポルノ革命到来のために。
- 著者注記
- 序
- 1 君の死
- 2 薬物ポルノ時代
- 3 テストジェル
- 4 テクノセクシュアリティの歴史
- 5 どの点でVDの身体は実験的なコンテクストの要素になるのか
- 6 テクノジェンダー
- 7 Tになること
- 8 薬物権力
- 9 テスト狂
- 10 ポルノ権力
- 11 ジミと私
- 12 薬物ポルノ時代のジェンダー・ミクロ政治
- 13 永遠の生
- 訳者あとがき
- 訳 注
- 参考文献
- 索 引
後藤喜也『世界を気遣うハイデガー―名のない神にこだまを返す』晃洋書房
世界を気遣い自分を気遣う人間のありさまを、ハイデガー哲学をよすがに考察する。
存在者がもらす「助けて」「忘れないで」というかすかな存在の声。これに答えて与える喪失の出来事以外に、本来の自己などない。エゴイズムや(反)ナチズムに制約されながらも、この声に応じるハイデガー。
- まえがき
- 凡例
- 第Ⅰ部〈存在と時間〉――永続する現前性の断念、言葉を返す愛――
第1章 歴史を生き、歴史を存在する――ディルタイとの対決と〈存在と時間〉――
第2章 『存在と時間』という迷い道を反復する――言い応じる愛へ――
第3章 死すべき人々の可滅的な世界 - 第Ⅱ部 世界を気遣う――名のない神にこだまを返す――
第4章 応答する言語――ヘルダー言語起源論解釈を手がかりに――
第5章 名のない神にこだまを返す――マイスター・エックハルトとハイデガー――
第6章 世界への気遣い――ハイデガーとアーレント―― - 第Ⅲ部 ヒューマニズムとナショナリズム――世界への気遣いの限界――
第8章 ハイデガーのナショナル・ヒューマニズム――デリダのゲシュレヒト(一族・同類)論のかたわらで――
第9章 ハイデガーの(反)国家社会主義と(反・)反ユダヤ主義――世界への気遣いの限界―― - 初出一覧
- あとがき
- 事項索引
- 人名索引
エツィオ・マンズィーニ『ここちよい近さがまちを変える/ケアとデジタルによる近接のデザイン: Ideas for the City That Cares』Xデザイン出版

パンデミックによって現代の暮らしに生じた、大きな変化。オンラインサービスやリモートワークの普及で自分の家に閉じこもる生活スタイルも一般的になりましたが、“ふれあうこと”や“近くにいること”の大事さに世界中の誰もが気付かされました。そのアプローチとして大きな示唆を持つのが、「Livable proximity=ここちよい近さ(近接)」。イタリアのデザイン研究者でありソーシャルイノベーションとサスティナビリティデザインに関する第一人者エツィオ・マンズィーニが著してくれるこの視点は、国のボーダーを超えてこれからの時代の“まち、地域、都市、ケア、コミュニティ、デジタル、経済、デザイン”への見方を変えてゆくと考えてやみません。本書は彼が記した「Livable proximity — ideas for the city that cares」の翻訳書として、ポストコロナにこそ意味を放つこの視点・考え方・アプローチを我が国に広く伝えることを目的に、日本版オリジナルコンテンツとして当文脈における意義深い日本の事例や解説も追加されています。人類が“今までの生き方で良かったのか?”問われているとも言えるこの時代に、新たなる希望の一歩を踏み出すためのマイルストーンともなりえる一冊です。
- はじめに
- 第1章 近接とは何か?
- 第2章 近接の都市
- 第3章 ケアする都市
- 第4章 近づけるためのデザイン
- 付録1 目の前に近づいている未来、近接の都市とデジタルプラットフォーム(イヴァナ・パイス 著)
- 付録2 日本語版解説と日本での事例(安西洋之、本條晴一郎、澤谷由里子、森一貴、山﨑和彦、山縣正幸 著)
岸政彦『にがにが日記』新潮社
人生は、にがいのだ。大阪で36年、猫と暮らして22年。7年間の人生の記録。生活史研究で知られ、大阪と沖縄、そして音楽に魅せられた社会学者が綴る、発見と内省、諧謔と哀切に満ちた日記。ウェブマガジン「考える人」の人気連載に、最愛の猫とのかけがえのない日々を書き下ろした「おはぎ日記」を併録。
- 0章(二〇一七年 四月二日-四月八日)
- 1章(二〇一八年 一月十五日-八月二十四日)
- 2章(二〇一九年 三月二十日-五月四日)
- 3章(二〇一九年 九月一日-十一月十日)
- 4章(二〇二〇年 一月五日-十二月十四日)
- 5章(二〇二一年 一月十二日-二月四日)
- 6章(二〇二一年 八月二十日-十二月三十一日)
- 7章(二〇二二年 七月二十九日-八月四日)
- おはぎ日記
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