参考文献紹介

『マツタケ―不確定な時代を生きる術』の参考文献

 
参考文献紹介
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著者アナ・チン
訳者赤嶺淳
発行みすず書房
発売日2019/09/17

「本書は、20世紀的な安定についての見通しのもとに近代化と進歩を語ろうとする夢を批判するものではない。……そうではなく、拠りどころを持たずに生きるという想像力に富んだ挑戦に取りくんでみたい。……もし、わたしたちがそうした菌としてのマツタケの魅力に心を開くならば、マツタケはわたしたちの好奇心をくすぐってくれるはずだ。その好奇心とは、不安定な時代を、ともに生き残ろうとするとき、最初に必要とされるものである」
オレゴン州(米国)、ラップランド(フィンランド)、雲南省(中国)におけるマルチサイテッドな調査にもとづき、日本に輸入されるマツタケのサプライチェーンの発達史をマツタケのみならず、マツ類や菌など人間以外の存在から多角的に叙述するマルチスピーシーズ民族誌。ホストツリーと共生関係を構築するマツタケは人工栽培ができず、その豊凶を自然にゆだねざるをえない不確定な存在である。そうしたマツタケを採取するのも、移民や難民など不安定な生活を余儀なくされてきた人びとである。生態資源の保護か利用かといった単純な二項対立を排し、種々の不確定性が絡まりあう現代社会の分析にふさわしい社会科学のあり方を展望する。
「進歩という概念にかわって目を向けるべきは、マツタケ狩りではなかろうか」。

  • 絡まりあう
  • プロローグ 秋の香
  • 第一部 残されたもの
    1 気づく術
    2 染めあう
    3 スケールにまつわる諸問題
  • 幕間 かおり
  • 第二部 進歩にかわって——サルベージ・アキュミュレーション
    4 周縁を活かす
      フリーダム……
    5 オレゴン州オープンチケット村
    6 戦争譚
    7 国家におこったこと——ふたとおりのアジア系アメリカ人
      移ろいゆきながら……
    8 ドルと円のはざま
    9 贈り物・商品・贈り物
    10 サルベージ・リズム——攪乱下のビジネス
  • 幕間 たどる
  • 第三部 攪乱——意図しえぬ設計
    11 森のいぶき
      マツのなかからあらわれる……
    12 歴史
    13 蘇生
    14 セレンディピティ
    15 残骸
      ギャップとパッチで……
    16 科学と翻訳
    17 飛びまわる胞子
  •   幕間 ダンス
  • 第四部 事態のまっただなかで
    18 まつたけ十字軍——マツタケの応答を待ちながら
    19 みんなのもの
    20 結末に抗って——旅すがらに出会った人びと
      胞子のゆくえ——マツタケのさらなる冒険
  •   マツタケにきく——訳者あとがき
  •   本書で引用された文献の日本語版と日本語文献
  •   索引

この記事では『マツタケ―不確定な時代を生きる術』の参考文献・関連書籍についてご紹介します。

参考文献一覧(邦訳)Part.1

尹紹亭(2000)『雲南の焼畑―人類生態学的研究』農林統計協会
著:尹 紹亭, 原名:紹亭, 尹, 原名:紅, 林, 翻訳:蕃, 白坂, 翻訳:紅, 林
ティム・インゴルド(2014)『ラインズ 線の文化史』左右社
著:ティム・インゴルド, 翻訳:工藤 晋
ドナルド・ウォスター(1996)『エコロジーの歴史 自然の摂理』食料農業政策研究センター 
著:ドナルド ウォスター, 原名:Worster,Donald, 翻訳:武一, 小倉
G・C・エインズワース(2010)『キノコ・カビの研究史―人が菌類を知るまで』京都大学学術出版会
著:G.C. エインズワース, 翻訳:眞, 小川
デイヴィッド・カービー(2008)『フィンランドの歴史』明石書店
著:デイヴィッド・カービー, 読み手:百瀬 宏, 読み手:石野 裕子
スコット・F・ギルバート, デイビッド・イーペル(2012)『生態進化発生学―エコ‐エボ‐デボの夜明け』東海大学出版会
著:ギルバート,スコット・F., 著:イーペル,デイビッド, 原名:Gilbert,Scott F., 原名:Epel,David, 翻訳:進三, 正木, 翻訳:真木生, 竹田, 翻訳:誠二, 田中
エドゥアルド・コーン(2016)『森は考える―人間的なるものを超えた人類学』亜紀書房
著:エドゥアルド・コーン, 翻訳:奥野 克巳, 翻訳:近藤 宏, 翻訳:近藤 祉秋, 翻訳:二文字屋 脩
ジョゼフ・コンラッド(2022)『闇の奥』新潮社
著:ジョゼフ・コンラッド, 翻訳:高見浩
チャールズ・P・スノー(2021)『二つの文化と科学革命 新装版』みすず書房
著:チャールズ・P・スノー, 翻訳:松井巻之助, 解説:ステファン・コリーニ
チャールズ・ダーウィン(2009)『種の起源』光文社
著:ダーウィン, 翻訳:渡辺 政隆
コンラッド・タットマン(1998)『日本人はどのように森をつくってきたのか』築地書館
著:コンラッド タットマン, 原名:Totman,Conrad, 翻訳:実, 熊崎
都留重人(1972)『公害の政治経済学』岩波書店
『現代思想 2017年3月臨時増刊号 総特集◎人類学の時代』青土社
著:中沢新一, 著:山極寿一, 著:Ph・デスコラ
リチャード・ドーキンス(2018)『利己的な遺伝子 40周年記念版』紀伊國屋書店
著:リチャード・ドーキンス, 翻訳:日高敏隆, 翻訳:岸由二, 翻訳:羽田節子, 翻訳:垂水雄二
トンチャイ・ウィニッチャクン(2003)『地図がつくったタイ』明石書店
著:トンチャイ ウィニッチャクン
アントニオ・ネグリ, マイケル・ハート(2003)『<帝国> グローバル化の世界秩序とマルチチュードの可能性』以文社
著:アントニオ・ネグリ, 著:マイケル・ハート, 翻訳:水嶋 一憲, 翻訳:酒井 隆史, 翻訳:浜 邦彦, 翻訳:吉田 俊実
アントニオ・ネグリ, マイケル・ハート(2005)『マルチチュード 上 ~<帝国>時代の戦争と民主主義』NHK出版
著:アントニオ・ネグリ, 著:マイケル・ハート, 翻訳:幾島 幸子
アントニオ・ネグリ, マイケル・ハート(2012)『コモンウェルス(上) 〈帝国〉を超える革命論』NHK出版
著:アントニオ・ネグリ, 著:マイケル・ハート, 監修:水嶋 一憲, 翻訳:幾島 幸子, 翻訳:古賀 祥子