新刊紹介

新刊紹介_20240301

 
新刊紹介

横道誠ほか『ケアする対話―この世界を自由にするポリフォニック・ダイアローグ』金剛出版

概要

ケアを主題とする、4つの珠玉の対話を収めた一冊。
オープンダイアローグや当事者研究、中井久夫をはじめケアと親和性の高い人物への考察など、テーマは多彩にちりばめられる。

医療や対人支援といった専門領域のみならず、ケアの倫理や文学研究など垣根を超えたさまざまな立場の声を巻き込み、対話はひらかれていく。

対話は、完成せず、余白があることに意味があるという。声は双方向から混ざり合いつつも一つに調和せず、ポリフォニック(多声的)に響き合い、新たな価値を生む。

目次
  • はじめに
  • ■対話はひらかれ、そしてケアが生まれる――物語・ユーモア・ポリフォニー:横道誠×斎藤 環×小川公代
  • 〈ミニ講義〉自助グループ化、当事者創作について:横道誠
  • 〈ミニ講義〉オープンダイアローグ入門:斎藤 環
  • 〈ミニ講義〉ケアの倫理とオープンダイアローグ:小川公代
  • 〈クロストーク〉対話はひらかれ、そしてケアが生まれる――物語・ユーモア・ポリフォニー:横道誠×斎藤 環×小川公代
  • ■ケアする読書会:横道誠×斎藤 環×小川公代
  • ■「当事者批評」のはじまり:頭木弘樹×斎藤 環×横道 誠(構成=斎藤哲也)
  • ■異なる世界をつなぐ創作と研究:横道 誠×村上靖彦

高井ゆと里編『トランスジェンダーと性別変更―これまでとこれから』岩波書店

概要

生殖不能要件は憲法違反――長く放置されてきた人権侵害を是正するため、「性同一性障害特例法」の改正が求められている。いま私たちに必要な基礎知識とは何なのか。特例法が制定された背景から、法・医学・国際人権の知見まで、高井ゆと里、野宮亜紀、立石結夏、谷口洋幸、中塚幹也らエキスパートが解説する。

目次
  • はじめに……………高井ゆと里
  • 第1章 特例法の制定過程から考える、その意義と限界……………野宮亜紀
  • 第2章 性別変更要件とはなにか……………立石結夏
  • 第3章 国際人権基準と性別記載変更法の現在……………谷口洋幸
  • 第4章 特例法とトランスジェンダー医療……………中塚幹也
  • おわりに……………高井ゆと里

奈良敏行著, 三砂慶明編『町の本屋という物語―定有堂書店の43年』作品社

著:奈良 敏行, 編集:三砂 慶明
概要

本は、本屋は、これからも大丈夫――そのように思わせてくれる一冊である。
本屋「Title」店主・辻山良雄さん推薦!

鳥取の定有堂書店は、いかにして地域の文化拠点となり、日本中から本好きや書店員が足を運ぶ「聖地」となっていったのか。名店の店主が折に触れつづった言葉から、その軌跡が立ち現れる。〈本の力〉が疑われる今まさに、手に取るべき一冊。

 鳥取に根を下ろし、一から自分の仕事を作りあげてきた奈良さんの言葉には、時代と地域を超えた普遍がある。それはとてもシンプルなことで、「本が好き、人が好き」。いつの時代も定有堂書店は本と人とのあいだにあり、そうした素朴なスピリットが、その店を全国から人が集う「聖地」たらしめたのだ。
 いま、本の力を疑いはじめた人にこそ読んでほしい。本は、本屋は、これからも大丈夫――そのように思わせてくれる一冊である。
本屋「Title」店主・辻山良雄

目次
  • はじめに 身過ぎ世過ぎは草の種
  • 第一章 町の本屋という物語
  • 第二章 「書店」と「本屋」
  • 第三章 「身の丈」の本屋
  • 第四章 本屋の青空
  • 第五章 定有堂書店の生成変化
  • 附録 定有堂書店の本棚 往来のベーシックセオリー

ばるぼら, あらゐけいいち『コミティア魂―漫画と同人誌の40年』フィルムアート社

概要

「魂と魂が握手するような出会い」を求めて――

オリジナル作品のみを扱った同人誌即売会コミティアは、どのように生まれ、どこへ向かおうとしているのか?

あらゐけいいち描き下ろし漫画収録

オリジナル作品のみを扱った同人誌即売会「コミティア」のイベントカタログ『ティアズマガジン』誌上にて連載された、漫画と同人誌の歴史をたどる証言集「コミティア魂」。コミティアを軸に、イベントが始まった1984年から2024年現在までの日本の同人誌即売会、漫画業界、インディペンデントカルチャーの歴史を紐解く好評連載が待望の書籍化!

『ティアズマガジン』136号(2021年6月6日)~『ティアズマガジン』144号(2023年5月5日)掲載の誌上連載全編に加えて、2020年代について綴った書き下ろし原稿も収録。コミティア会長・中村公彦、BELNE(漫画家)、猪飼幹太(『COMIC リュウ』編集長)、筆谷芳行(コミックマーケット共同代表)など、関係者の「証言」から40年の歩みに迫ります。

また、『日常』『CITY』のあらゐけいいちによる描き下ろし漫画を収録。1980年代、1990年代、2000年代、2010年代&2020年代という4つの時代のコミティアをあらゐ独自の視点から描いています。同人誌『自分たちのコミティア』(発行:ドイスボランチ、発行日:2020年11月23日)に掲載された、あらゐがコミティアに初参加した際の様子を描いたエッセイ漫画「コミティア」も収録され、漫画作品としても楽しめる内容となっています。

新しい才能を見出し続けてきたコミティアは、どのように生まれ、どこへ向かおうとしているのか? 漫画と同人誌の歴史・文化に興味がある人や、出版業界に関心のある人は必読の一冊です。

目次
  • コミティア魂(プロローグ)
  • ●第1部 コミティア前夜
    第1章 『ぱふ』の時代――創作同人誌即売会と初代代表との出会い
  • ●第2部 1980年代
    1980年代のコミティア
    第2章 開始直後の代表交代――安定しないコミティアとBELNEの証言
  • ●第3部 1990年代
    1990年代のコミティア
    第3章 コミティア発の作家の登場――地方コミティアの誕生と坂田文彦の証言
    第4章 VSコミケット――第二ステージの始まりと筆谷芳行の証言
    資料ページ
    第4.5章 コミティアとサブカルチャー――漫画同人誌のイメージ向上
    第5章 with商業誌の時代――BL胎動とJ.GARDENの証言
    第6章 一九九〇年代のオタクブーム――「青年」の誕生と三崎尚人の証言
  • ●第4部 2000年代
    2000年代のコミティア
    第7章 原画展、出張マンガ編集部、ジュンク堂――ネット普及と田中香織の証言
  • ●第5部 2010年代&2020年代
    2010年代&2020年代のコミティア
    第8章 第一〇〇回と三〇周年――政治への意識と猪飼幹太の証言
    第9章 魂を引き継いでいくために――代表交代とさわだの証言
    コミティア
  • コミティア魂(エピローグ)
  • 参考文献
  • 初出一覧

玉川博章編『「同人文化」の社会学―コミケをはじめとする同人誌即売会とその参加者の織りなす生態系を描く』七月社

概要

頼まれたわけでもないのにマンガを描き、ゲームを作り、それを自主制作物として商業流通によらず誰かのもとに届ける。
こうした同人活動に着目し、それを支える同人誌即売会や印刷所なども含めて「同人文化」としてとらえ、同人界隈の日常的実践を描き出す。

目次
  • 序章 「同人文化」の研究にむけて──関連研究レビューからの視座/玉川博章
  • 第1章 中小規模即売会からみる同人文化──主催団体代表・運営スタッフへのインタビューから見えてくるもの/玉川博章
  • 第2章 メディア融合時代における参加型文化──コミティアのスタッフを実例として/ヴィニットポン・ルジラット(石川ルジラット)
  • 第3章 同人サークルの制作動機とその変化──デジタル化とグローバル化の時代の同人ゲーム制作者に注目して/小林信重
  • 第4章 同人誌業界のオープンプラットフォーム化──営利企業の動きを中心に/飯塚邦彦
  • 第5章 コロナ禍での同人誌即売会の経験──エアコミケは「本物」の即売会になったか?/杉山怜美
  • 付録 コミックマーケット35・40周年調査報告/玉川博章・小林信重
    あとがき/玉川博章

松浦寿輝, 沼野充義, 田中純『徹底討議 二〇世紀の思想・文学・芸術』講談社

著:松浦 寿輝, 著:沼野 充義, 著:田中 純
概要

二つの世界大戦から、革命と共産主義、無意識とセクシュアリティ、言語論的転回、アメリカの亡命者たち、映画と精神分析とファシズム、ホロコーストの記憶、構造主義、「歴史の終わり」、情報テクノロジーの進展、世界文学、そして「廃墟としての未来」まで……時代の転回期に「二〇世紀の夢」を振り返る徹底討議。

目次
  • 第一回 世紀の開幕
  • 第二回 世界内戦1.0
  • 第三回 革命と共産主義
  • 第四回 無意識とセクシュアリティ
  • 第五回 言語論的転回とその〈谺〉
  • 第六回 亡命者たちのアメリカ
  • 第七回 「映像」の運命
  • 第八回 世界内戦2.0
  • 第九回 批評の革新
  • 第十回 エイティーズ  『空白』の時代
  • 第十一回 インターネットの出現
  • 第十二回 〈世界文学〉のために
  • 後記

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