Information | |
---|---|
著者 | 緒方壽人 |
発行 | ビー・エヌ・エヌ |
発売日 | 2021/5/21 |
行き過ぎた現代のテクノロジーは、
いかにして再び「ちょうどいい道具」になれるのか?
気鋭のデザインエンジニア・緒方壽人(Takram)が、
イヴァン・イリイチが説いた「コンヴィヴィアリティ」を足がかりに
現代に求められるテクノロジーのあり方を探求する
本書は、思想家/文明批評家のイヴァン・イリイチが提唱した概念「コンヴィヴィアリティ」を足がかりに、これからの人間とテクノロジーのあり方を探る一冊です。
コンヴィヴィアルとは「共に(con)生きる(vivial)」こと。テクノロジーが飛躍的に発展し、豊かさを手に入れた私たちは、道具を使いこなしているようでいて、実は道具に使われてしまってはいないでしょうか。また、「人新世」とも呼ばれる気候変動危機の時代にあるいま、行き過ぎたテクノロジーはいかにして再び「ちょうどいい道具」になれるのでしょうか。そのカギは、イリイチが示した適度なバランスを保つための「二つの分水嶺」という考え方にあります。
人間にとってテクノロジーとはどのようなものなのか。これからのテクノロジーはどうあるべきなのか。テクノロジー自体が自律性を持ち始めたAI時代に、人間と人間、人間と自然、そして人間とテクノロジーが「共に生きる」ための「コンヴィヴィアル・テクノロジー」とは何なのか ── デザイン・イノベーション・ファームTakramで数々の先駆的なプロジェクトを率いてきた気鋭のデザインエンジニア・緒方壽人氏が、先人たちのさまざまな言説を辿り、思考を巡らせながら紐解きます。
実世界のあらゆるモノ同士がつながるIoTの未来を研究する「万有情報網プロジェクト」の各研究領域リーダーたちとの対話も収録した本書は、ものづくりに携わる人たちはもちろん、もはやテクノロジーと切り離せない生活を送るあらゆる人にとって確かな指針となるでしょう。
- コンヴィヴィアル?
- プロローグ
- 第1章 人間とテクノロジー
- 第2章 人間と情報とモノ
- 第3章 人間とデザイン
- 第4章 人間と自然
- 第5章 人間と人間
- 第6章 コンヴィヴィアル・テクノロジーへ
- 第7章 万有情報網
- エピローグ
この記事では『コンヴィヴィアル・テクノロジ―人間とテクノロジーが共に生きる社会へ』の参考文献・関連書籍についてご紹介します。
コンヴィヴィアル?
イヴァン・イリイチ(2015)『コンヴィヴィアリティのための道具』筑摩書房

山本哲士(2019)『イバン・イリイチ』文化科学高等研究院出版
プロローグ
J・A・シュムペーター(1977)『経済発展の理論 上(シュムペーター): 企業者利潤・資本・信用・利子および景気の回転に関する一研究』岩波書店

田川欣哉(2019)『イノベーション・スキルセット~世界が求めるBTC型人材とその手引き』大和書房
ジェレミー・リフキン(2015)『限界費用ゼロ社会 <モノのインターネット>と共有型経済の台頭』NHK出版
第1章 人間とテクノロジー
ビアトリス・コロミーナ, マーク・ウィグリー(2017)『我々は 人間 なのか? デザインと人間をめぐる考古学的覚書き』BNN
イヴァン・イリイチ(2015)『コンヴィヴィアリティのための道具』筑摩書房

イバン・イリイチ, デイヴィッド・ケイリー編(2005)『生きる意味: 「システム」「責任」「生命」への批判』藤原書店
イヴァン・イリイチ(1979)『エネルギーと公正』晶文社
トマ・ピケティ(2014)『21世紀の資本』みすず書房
ジェームズ・ブライドル(2018)『ニュー・ダーク・エイジ』NTT出版
F・アーンスト・シューマッハー(1986)『スモール イズ ビューティフル』講談社
第2章 人間と情報とモノ
古瀬幸広, 廣瀬克哉(1996)『インターネットが変える世界』岩波書店
森田真生「僕たちはどう生きるかー夏編」『すばる2020年11月号』集英社
河島茂生, 西田洋平, 原島大輔ほか(2019)『AI時代の「自律性」: 未来の礎となる概念を再構築する』勁草書房
ヨシタケシンスケ(2013)『りんごかもしれない』ブロンズ新社
デイヴィッド・イーグルマン(2019)『あなたの脳のはなし 神経科学者が解き明かす意識の謎』早川書房
第3章 人間とデザイン
エイドリアン・フォーティー(2010)『欲望のオブジェ』鹿島出版会
ヘンリー・ペトロスキー(2010)『フォークの歯はなぜ四本になったか』平凡社
山中俊治(2011)『デザインの骨格』日経BP
アンソニー・ダン, フィオーナ・レイビー(2015)『スペキュラティヴ・デザイン 問題解決から、問題提起へ。—未来を思索するためにデザインができること』BNN

マット・マルパス(2019)『クリティカル・デザインとはなにか? 問いと物語を構築するためのデザイン理論入門』BNN
安西洋之, 八重樫文(2017)『デザインの次に来るもの』クロスメディア・パブリッシング
ジュリア・カセム(2014)『インクルーシブデザイン: 社会の課題を解決する参加型デザイン』学芸出版社
Arturo Escobar(2018)『Designs for the Pluriverse: Radical Interdependence, Autonomy, and the Making of Worlds』Duke University Press Books

第4章 人間と自然
篠原雅武(2018)『人新世の哲学: 思弁的実在論以後の「人間の条件」』人文書院
國分功一郎(2019)『原子力時代における哲学』晶文社
森一郎(2020)『核時代のテクノロジー論: ハイデガー『技術とは何だろうか』を読み直す』現代書館
苫野一徳(2016)『「自由」はいかに可能か 社会構想のための哲学』NHK出版
ユヴァル・ノア・ハラリ(2016)『サピエンス全史 上下合本版 文明の構造と人類の幸福』河出書房新社
第5章 人間と人間
ユクスキュル, クリサート(2005)『生物から見た世界』岩波書店
カール・ポパー(2023)『開かれた社会とその敵 プラトンの呪縛(上) 第一巻』岩波書店
渡辺一夫(2019)『寛容は自らを守るために不寛容に対して不寛容になるべきか 渡辺一夫随筆集』三田産業
國分功一郎(2017)『中動態の世界 意志と責任の考古学』医学書院
熊谷晋一郎(2017)『臨床心理学増刊第9号―みんなの当事者研究』金剛出版
ドミニク・チェン(2020)『未来をつくる言葉―わかりあえなさをつなぐために―』新潮社
ケネス・J・ガーゲン(2020)『関係からはじまる―社会構成主義がひらく人間観』ナカニシヤ出版
山岸俊男(1999)『安心社会から信頼社会へ 日本型システムの行方』中央公論新社
ニクラス・ルーマン(1990)『信頼―社会的な複雑性の縮減メカニズム』勁草書房
鈴木健(2013)『なめらかな社会とその敵 ──PICSY・分人民主主義・構成的社会契約論』勁草書房
國分功一郎, 熊谷晋一郎(2020)『<責任>の生成ー中動態と当事者研究』新曜社
アントニオ・R・ダマシオ(2005)『感じる脳――情動と感情の脳科学 よみがえるスピノザ』ダイヤモンド社
渡邊淳司, ドミニク・チェン, 安藤英由樹ほか(2020)『わたしたちのウェルビーイングをつくりあうために その思想、実践、技術』ビー・エヌ・エヌ新社

comment