新刊紹介

新刊紹介_20240501

 
新刊紹介

津田正太郎『ネットはなぜいつも揉めているのか』筑摩書房

概要

日々起きる事件や出来事、問題発言をめぐって、ネットユーザーは毎日のように言い争っている。終わりのない諍いを生み出す社会やメディアのあり方を考える。

目次
  • 第一章 「表現の自由」をめぐる闘争…アニメの感想を書いたら炎上した実体験
  • 第二章 ソーシャルメディアの曖昧さと「権力」…メッセージ解釈はいかにしてズレていくか
  • 第三章 エコーチェンバーの崩壊と拡大する被害者意識…①カテゴリー思考 ②単純化 ③怒りの増幅
  • 第四章 「不寛容な寛容社会」とマスメディア批判…快適な社会のパラドクス、新たな迷惑行為の発見
  • 第五章 二つの沈黙、二つの分断
  • 終章 単純さと複雑さのせめぎ合い…他者の目に映る世界を眺めてみるということ

山脇直司『分断された世界をつなぐ思想―より善き公正な共生社会のために』北海道大学出版会

概要

人類の共滅と国内の分断加速が懸念される今、どこに未来への希望を見出せるか。公共哲学と共生思想を基に、教育、福祉、環境、国際、経済、宗教などでの共生への道を探り、教養教育と哲学の意義を復権して、現代の喫緊の課題に応える。

目次
  • はじめに
  • 〔第一部 公共哲学の現代的展開〕
    第1章 20世紀以降の公共哲学の発展と社会構想
    第2章 公共的価値としての「正義・人権・平和・福祉」論再考:その思想史的考察とアクチュアリティ
    第3章 今世紀上四半期の諸問題と公共哲学
  • 〔第二部 共生社会論のリニューアル〕
    第4章 共生思想の諸潮流と革新
    第5章 共生科学の射程、展開、可能性
    第6章 共生社会のための「福祉と経済の統合」への道
    第7章 宗教的共生を考えるために
  • 〔第三部 教養教育と哲学の再定位〕
    第8章 教養教育の歴史・没落と21世紀的刷新
    第9章 「より善き公正な共生社会」と人間の実存
  • おわりに:本書を貫くキーコンセプト
  • 注/人名索引

ジョアン・C・トロント『モラル・バウンダリー―ケアの倫理と政治学』勁草書房

著:ジョアン・C・トロント, 翻訳:杉本 竜也
概要

道徳性をめぐる議論におけるジェンダーに関する問題を明らかにし、ケアの政治学に関する考察を行った最初の体系的な著作を邦訳。
 
トロントは政治理論・政治哲学の学問的系譜においてケアの倫理を論じ、ケアの政治理論を確立した先駆的人物である。ケアの倫理をめぐる議論は、母子関係を起点にケアを女性と関連づけるところからスタートしたが、本書はケアをあらゆる人間の生や活動として拡張し、現在のケアの倫理の理論的土台を形作るものと評価されている。
【原著】Joan C.Tronto, Moral Boundaries: A Political Argument for an Ethic of Care (Routledge, 1993)

目次
  • 日本語版序文
  • まえがき
  • 第一部 序論
    第一章 道徳の境界と政治的変化
  • 第二部 「女性の道徳」に抗して
    第二章 普遍的道徳と道徳感情
    第三章 道徳はジェンダー化されているのか?
  • 第三部 ケアの倫理のために
    第四章 ケア
    第五章 ケアの倫理
    第六章 ケアと政治理論
  • 訳者解説/注/事項索引/人名索引

高井ゆと里, 周司あきら『トランスジェンダーQ&A―素朴な疑問が浮かんだら』青弓社

概要

「性別を生きる」って、どういうこと? トランスジェンダーについての基礎的な情報、性別分けスペースのこと、「トランス差別はいけないけれど気になる」疑問など、大きなクエスチョン21個、そこから派生するクエスチョン65個の問いと答えをまとめる。

目次
  • 第1部 性別の重み
    性別を重要視する社会
    性別らしさと性別であること
    性別と服装
    性別と外見
    性別と身体
    性別とアイデンティティ
    性別の多元性
    性別分けスペース
    性別二元制社会
  • 第2部 基礎知識
    Q1:トランスジェンダーとはどんな人たちを指すの?
    Q2:トランスジェンダーって、「女らしさ」や「男らしさ」の押し付けがいやな人たちのこと?
    Q3:トランスジェンダーの人たちは、どれくらいいるの?
    Q4:「性別を変える」ってどういうこと?
    Q5:生活上の性別を変えるって、何をするの?
    Q6:身体の特徴を医学的に変えるって、何をするの?
    Q7:書類上の性別(戸籍)を変えられるの?
    Q8:ノンバイナリーの人も性別を変えるの?
    Q9:トランス男性は男の人、トランス女性は女の人、と理解しておけばいい?
    Q10:自分の望みどおりに性別を「変えた」トランスジェンダーの人たちは、もう困りごとはないの?
    Q11:どんなことが理由で差別を受ける?
    Q12:差別の現状を示すデータについて、もう少し知りたいな
    Q13:ノンバイナリーの人たちも差別を受ける?
    Q14:最近、SNSでトランスヘイトがひどいよね?
  • 第3部 性別分けスペース
    素朴な疑問は素朴ではない
    未来を考えるために
    Q15:トランスジェンダーは性別分けスペースに混乱を招きませんか?
    Q16:性別分けスペース①トイレ
    Q17:性別分けスペース②公衆浴場
    Q18:性別で分かれることがある活動――スポーツ
  • 第4部 「トランス差別はいけないけれど気になる」疑問
    Q19:トランスジェンダーと医療
    Q20:トランスジェンダーと社会の変化
    Q21:トランスジェンダーとジェンダー特権
  • あとがき
  • もっと知りたいあなたへ

津田正太郎ほか編『ソーシャルメディア時代の「大衆社会」論―「マス」概念の再検討』ミネルヴァ書房

概要

これまで「大衆」と「マス・メディア」に関しては盛んに語られてきたが、SNSをはじめメディアが多様化し、マスとメディアの関係が変容した今日ではリアリティーを失いつつある。とはいえ、大衆社会論の問題は解消された訳ではないだろう。本書はこの「マス」 概念を再検討、再構築することで、現代社会をメディア側から見通す手がかりを探る。

目次
  • 序 章 大衆の消滅(烏谷昌幸)
  • 第一章 大衆の「救済」とマス・コミュニケーション(大石 裕)
  • 第二章 「マス」の再発見――メディア政治研究における抑圧されたものの復活(山腰修三)
  • 第三章 状態としての大衆、イメージとしての大衆(津田正太郎)
  • 第四章 現代社会におけるマス・コミュニケーションと感情(三谷文栄)
  • 第五章 インターネットの普及に伴う大衆の可視化(平井智尚)
  • 第六章 社会的に構築されない「ジャーナリズム」(山口 仁)
  • 第七章 新しい「正統性の危機」?(湯本和寛)
  • 第八章 陰謀論政治の出現(烏谷昌幸)
  • 第九章 「物言わぬ大衆」としての「真の弱者」アイデンティティ(新嶋良恵)
  • 第一〇章 ジャーナリズム実践の集合的記憶(佐藤信吾)
  • あとがき  
  • 人名・事項索引

山内貴範『ルポ書店危機』blueprint

概要

現在書店が街からなくなりつつあります。全国での書店数は2003年に約2万店あったものが2024年には約1万店舗まで落ち込み、現在書店のない市町村は全国で26%にのぼるという統計があるほど加速度的に街から本屋さんがなくなっています。そんな事情を考慮し、国は動きを見せています。経済産業省は、2024年3月5日に全国で減少する書店の振興に取り組む「書店振興 プロジェクトチーム」を設置。新たな支援策を検討していくとしています。

今後、書店はどこへ向かうのでしょうか。
街から消滅するのか、存続するのか。町の書店がなくなり風景が変わりつつある街、まだまだ書店が多くある街。秋田県羽後町にある小さな書店の奮闘記や首都圏での書店の取り組み、名物書店員へのインタビュー、図書館の動向や個性あふれる小規模書店に影響を受けて生まれた出版社など、書店や出版の現状と未来に焦点を当てたルポルタージュ。

目次
  • はじめに
  • 総論:書店閉店の負の連鎖は断ち切れるのか
  • 第一章  地方書店
  • 第二章 書店ルポ
  • 第三章 行政と書店
  • 第四章 本を売る場と出版 新たなる関係

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