壁のシミがお化けに見えて眠れない……
風に舞う落ち葉が心や意志をもつ蝶のように見えてくる……
このような現象に、皆さんもきっと心当たりがあるに違いない。
私たちの周りに偏在しているこれらの一風変わった現象には、「パレイドリア」、「アニマシー知覚」という名前がある。
一見するとただの見間違いのように思えるかもしれないが、それだけで片付けてしまうのはもったいないほどの奥深さと面白さを秘めている現象である。
本書は、そのような「パレイドリア」と「アニマシー知覚」というたった2つの現象、認知心理学の中でも比較的ニッチな現象について、徹底的に解説することを目指した迫真の一冊である。
私たち人間は「知覚すること」のエキスパートであり、日常生活のなかで「知覚」について真剣に考えることは少ないだろう。
しかし、これらの奇妙な知覚現象を紐解くためには、知覚の基本を抑えておく必要がある。
そこで、本書ではまず、知覚の構造を読み解く作業から開始する。そしてその知覚の構造を参照しながら「パレイドリア」や「アニマシー知覚」に関するさまざまな現象や研究について議論を進めていく。さらには世の中にはびこる「パレイドリア」や「アニマシー知覚」に関連する実例を挙げながら、これらの奇妙な現象のポテンシャルも論じる。
人間の知覚とはどのようなものなのか。
なぜ壁のシミが顔に見えるのか。
本書を読み終えたとき、読者はきっと、人間の知覚の不思議さと面白さの虜になっているはずである――。
【読者対象】
・「知覚」「認識」「錯視」「錯覚」に興味のある高校生
・心理学(人間科学)に興味のある大学生
・知覚心理学や認知心理学を専門とする大学院生
・人間の認識の不思議さに興味のある一般人
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