新刊紹介

新刊紹介_20240820

 
新刊紹介

バチャ・メスキータ『文化はいかに情動をつくるのか―人と人のあいだの心理学』紀伊國屋書店

著:バチャ・メスキータ, 翻訳:高橋 洋, 解説:唐澤真弓
概要

多文化共生社会の実現に必要な〈情動リテラシー〉とは?

〈喜び〉〈怒り〉〈悲しみ〉などの情動は、世界共通のものではなく、人が属する文化に生きることを通して作り上げられるものなので、文化圏ごとに異なる――非欧米圏出身者の情動に着目して研究している著者は、文化、言語、ジェンダー、民族や人種、社会経済的階層などのちがいによって、情動の発生やとらえかたが文化圏によって異なっていることを実験から見出した。

また、グローバル化が進むと、企業や学校などに集まる人々のあいだで情動のすれちがいに端を発する軋轢の増加も予想される。文化心理学の先駆者として注目される著者は、よりよい多文化共生社会を実現するための具体的な取り組みを紹介しながら、ひとりひとりが備えるべき〈情動リテラシー〉を提言する。

「情動の文化的差異を研究する注目すべき学者の活気に満ちた傑作」
――リサ・フェルドマン・バレット(『情動はこうしてつくられる』著者)

「あなた自身や文化、そして変化に富む人間性への理解が深まる」
――ジョナサン・ハイト (『社会はなぜ左と右にわかれるのか』著者)

目次
  • 第1章 ロスト・イン・トランスレーション
  • 第2章 ふたつの情動――MINE型とOURS型
  • 第3章 子どもの育てかた
  • 第4章 「正しい」情動と「間違った」情動
  • 第5章 絆を結ぶ、快く感じる
  • 第6章 情動を表わす言葉の多様性
  • 第7章 ワルツを学ぶ
  • 第8章 多文化社会を生きるための情動理解

荒巻義雄, 巽孝之編『SF評論入門』小鳥遊書房

編集:荒巻義雄, 編集:巽孝之
概要

SF評論に何ができるか?
20世紀中葉、安部公房はSFを「この名づけがたきもの」と呼んだ。
21世紀現在、世界はSF化してしまった。
荒巻義雄の言う「SFする思考」は新しい日常の随所に浸透している。
ならばSF評論は、いかにSF的現在を、そして現在 SFを語りうるか?
本書は古典SFから現在SFにおよぶ多くのテクストに対峙しつつ、ベテランSF評論家たちの来るべきSFのヴィジョンを透視する力作論考 12本を結集。
論及されるのはメアリ・シェリーからヴェルヌ、ウェルズ、アシモフ、クラーク、ハインライン、レム、バラード、ゾリーン、ディック、ヒューガート、クライトン、ギブスン、シャイナー、イーガン、そして我が国の沼正三、光瀬龍、小松左京、星新一、筒井康隆、石川喬司、豊田有恒、平井和正、山野浩一、三枝和子、高野史緒、伊藤計劃、倉田タカシ、藤本タツキに至るまで。
いま「S Fを語ること」の楽しさが、ここにある!

目次
  • ◉序説(巽 孝之) SFをいかに語るか—SF評論入門のために
  • 第一部 古典SFをどう語るか
    序文(巽 孝之)
    ◉第一章(忍澤 勉) 『ソラリス』に交差する二人の視線—レムの「神学」とタルコフスキーの信仰 
    ◉第二章(藤元 登四郎) ディック『高い城の男』と易経
  • 第二部 SF作家をどう語るか
    序文(巽 孝之)
    ◉第三章(石和 義之) アイザック・アシモフの想像力—帝国主義の時代に生まれて
    ◉第四章(宮野 由梨香) 光瀬龍『百億の昼、千億の夜』の彼方へ
  • 第三部 SFジャンルをどう語るか
    序文(巽 孝之)
    ◉第五章(礒部 剛喜) 国民の創世再び—第四次世界大戦下のハインライン『宇宙の戦士』
    ◉第六章(岡和田 晃) 「未来学」批判としての「内宇宙」—山野浩一による『日本沈没』批判からフェミニスト・ディストピアまで
    ◉第七章(横道 仁志) バリー・ヒューガート『鳥姫伝』論—断絶に架かる一本の橋
  • 第四部 SFとテクノロジーをどう語るか
    序文(巽 孝之)
    ◉第八章(ドゥニ・タヤンディエー) 荒巻義雄「柔らかい時計」—シュルレアリスムとナノテクノロジーのイマジネーション
    ◉第九章(海老原 豊) 生成AIは作者の夢を見るか?—グレッグ・イーガン『ゼンデキ』の作者機能
    ◉第十章(鼎 元亨) ナガサキ生まれのミュータント—ペリー・ローダン・シリーズを中心に
  • 第五部 現在SFをどう語るか
    序文(巽 孝之)
    ◉第十一章(渡邊 利道) エキセントリックな火星—倉田タカシ試論
    ◉第十二章(関 竜司) 藤本タツキ『チェンソーマン』とZ世代—再帰的モダニズムと〈器官なき身体〉の肖像
  • ◉終章(荒巻 義雄) 六〇年代からの証言—あとがきに代えて
  • 索引
  • 英文イントロダクション  Takayuki Tatsumi

河村祐介監『DUB入門―ルーツからニューウェイヴ、テクノ、ベース・ミュージックへ』Pヴァイン

概要

ダブとは何か? それはどのように生まれ、いかにして広まり、拡張したのか?
そのすべてを俯瞰する!

ルーツからニューウェイヴ、ディスコ、テクノ、アンビエント、ベース・ミュージックまで
400枚以上の作品を紹介する、ダブ・ディスクガイドの決定版

監修・編集・執筆:河村祐介
執筆:野田努、三田格、鈴木孝弥、飯島直樹、猪股恭哉、草鹿立、大石始、宇都木景一、吉本秀純、Akie、八木皓平
featuring U‐ロイ、エイドリアン・シャーウッド、アンドリュー・ウェザオール、こだま和文、内田直之、1TA & Element、Sahara (Undefined)、Mars89

A5判オールカラー/224ページ

目次
  • イントロダクション
  • Chapter 1 ROOTS ダブのルーツ
    サウンドシステムを巡るジャマイカ音楽史とダブの誕生譚
    キング・タビーとはなにものなのか?(鈴木孝弥)
    U-ROY・インタヴュー
    人々を「アップセット」するための音響を──リー・ペリーのダブ
    その他のジャマイカの重要ダブ・エンジニア/アーティスト
    【disc】ROOTS OF DUB IN JAMAICA
  • Chapter 2 SPREAD 拡散
    UKダブ史──いかにしてそれを自分たちの文化にしたのか(野田努)
    【disc】UK REGGAE ┃ WACKIE’S
    エイドリアン・シャーウッド・インタヴュー
    【disc】ON-U SOUND
    レゲエとパンクは似たもの同士ではない――UKでのDUB論の展開(野田努)
    【disc】POST-PUNK / NEW WAVE ┃ DISCO
    レゲエのデジタル化とダブ・アルバムの衰退(鈴木孝弥)
    【disc】JAMAICA DIGITAL DANCEHALL DUB ┃ UK DIGITAL NEW ROOTS
  • Chapter 3 DANCE DJ カルチャーとダブ
    UKレイヴ・カルチャーとダブ(三田格)
    【disc】UK RAVE CULTURE IN DUB
    アンドリュー・ウェザオール・インタヴュー
    ブリストル・サウンドとはなにか?(飯島直樹)
    【disc】BRISTOL SOUND ┃ DOWNTEMPO, TRIP HOP, TECHNO, JUNGLE ┃ BASIC CHANNEL
  • Chapter 4 FAR EAST 日本のダブ
    こだま和文・インタヴュー
    内田直之・インタヴュー
    【disc】JAPANESE DUB
  • Chapter 5 EXPANTION 拡張
    【disc】ELECTRONICA ┃ DUB TECHNO / MINIMAL DUB ┃ HOUSE / NEW DISCO ┃ LOCALIZED ┃ DUBSTEP / BASS MUSIC ┃ ROCK, ELECTRONICS, LEFTFIELD
  • Chapter 6 ADVENTURE モダン・ダブの冒険
    国内外を結ぶ、注目の国内ダブ・レーベル主宰者に訊く、現在のダブ・シーン──1TA & Element(Riddim Chango)、Sahara(Newdubhall)、Mars89(Nocturnal Technology)
    【disc】THE ADVENTURE OF MODERN DUB
  • 索引
  • 著者紹介

ヴィリ・レードンヴィルタ『デジタルの皇帝たち―プラットフォームが国家を超えるとき』みすず書房

概要

〈画面越しで虚空に向かって初めてメッセージを送り、短い小休止のあとに、見ず知らずの人から返事を受けたときは、わくわくした。黒いガラスにただ単色の文字が見えただけだったが……(本書第2章より)〉

テクノロジーと自由を誰よりも愛したサイバーリバタリアンのジョン・バーロウ、人々の信頼を裏切る中央当局を排除するために仮想通貨Bitcoinを世に放ったサトシ・ナカモト、完全な自由市場のはずが「ソ連2.0」へ傾くUberの創設者トラビス・カラニックとギャレット・キャンプ、宇宙にまで手をのばすAmazonの皇帝ジェフ・ベゾス……。これらデジタルプラットフォーム君主たちの野望や、栄光と蹉跌の経済学的メカニズム、そして彼らに抗った人々を、生い立ち・思想・行動の面から、ストーリーとデータで描く。デジタルテクノロジーを駆使する彼らが直面する、中世ヨーロッパやソ連の人々と共通の課題とは?
自由のためのプロジェクトが不自由をもたらすのはなぜか、君主への反乱の成否は何が決めるのか、デジタル帝国が強大な力を握ることの問題はなにか……。サイバーリバタリアンの理想が生んだ「雲の上の帝国」と、地上の国家の比較から、私たちがコントロールを取り戻す道筋を引きだす希望の書。プラットフォームも、国家も、重要なのは「制度」だ!

目次
  • 第1章 序論
  • 第I部 経済的制度
    第2章 互恵主義――サイバースペースの黄金律
    第3章 評判から規制へ――巨人の誕生
    第4章 プライバシーのジレンマ――仮面舞踏会で秩序を維持する
    第5章 距離の死、境界の復活――サイバースペースの労働市場
    第6章 中央計画自由市場――ソ連2.0のプログラミング?
  • 第II部 政治的制度
    第7章 ネットワーク効果――デジタル革命家からエブリシング皇帝へ
    第8章 クリプトクラシー――政治を技術に置き換える探究
    第9章 集合行為 I――インターネット労働者は団結する?
    第10章 集合行為 II――デジタル中流階級の興隆
  • 第III部 社会的制度
    第11章 デジタルセーフティーネット――プラットフォーム経済の社会保障と教育
    第12章 結論
  • 謝辞/原注/索引

キャスリン・T・ガインズ『アーレントと黒人問題』人文書院

概要

アーレントはなぜアメリカでの黒人問題について差別的な発言・記述を繰り返したのか
黒人問題はアーレント思想の急所である

ユダヤ人としてナチ政権下で命の危機に晒された経験を持つアーレントが、アメリカでの黒人問題については差別的な発言・記述を繰り返したのは何故だったのか。「黒人問題は黒人の問題ではなく白人の問題である」と喝破する著者が、アーレント思想に潜む「人種問題」を剔抉する。

「私は、アーレントの思想をまるまる捨て去って、彼女にレイシストのレッテルを貼ろうとしているわけではない。アーレントは『起源』のなかで数々の難問を徹底して考え抜き、困難な時代と状況の意味を理解しようと試みている。多くの場合、彼女の探究方針は非常に有益かつ生産的なものだ。そこには全体主義の由来を帝国主義の暴力的な体制にまで遡った彼女の力量も含まれる。しかし同時に彼女の分析には大きな欠点も存在する。とりわけ、黒人やアフリカ人に対するレイシズムの問題に話が及んだ際にその欠点が露わになる。」
(5「来るべき崩壊への準備段階」より)

原書:Kathryn T. Gines. Hannah Arendt and the Negro Question, Indiana University Press, 2014.

目次
  • 略語一覧〔付・邦訳文献〕
  • まえがき
  • 謝辞  
  • 序論  
    1 「少女は、明らかに英雄となるよう求められていた」  
    2 「南部諸州で最も許し難い法律――異人種間結婚を犯罪とする法律」  
    3 「人間的生の三領域――政治的なもの・社会的なもの・私的なもの」
    4 「革命の最終目的は自由の創設である」  
    5 「来るべき崩壊への準備段階」
    6 「暴力と他者への支配だけが一部の男性を自由にできた」 
    7 「私たちの高等教育機関にとって学生の運動よりもはるかに大きな脅威」
  • 結論 アーレントの黒人問題へのアプローチにおける判断の役割
  • 訳者あとがき/注/索引

満薗勇『消費者と日本経済の歴史―高度成長から社会運動、推し活ブームまで』中央公論新社

概要

応援消費やカスハラなど、消費者をめぐるニュースが増えている。本書は、消費革命をもたらした一九六〇年代から、安定成長期やバブル、そして長期経済停滞までを消費者の視点で描く。生産性向上運動、ダイエー・松下戦争、堤清二とセゾングループのビジョン、セブン‐イレブンの衝撃、お客様相談室の誕生などを通し、日本経済の歩みとともに変貌していく消費者と社会を描き出す。

目次

coming soon…

comment

タイトルとURLをコピーしました